これまでに取り組んだ事件

被害者が勝利した公安警察官泥棒事件

警察腐敗の原因が見えた

 7年前の3月、県警警備課の幹部岩下健美が、4ヶ月間に 37件の窃盗を犯し、一千万円以上の金品を奪った事件が発覚した。「捕らえてみればお巡りさん」であった。しかも7件は勤務時間中の犯行で、侵入箇所は大半が岩下が仕事の対象にしていた日本共産党にゆかりのある個人・団体。真相解明と県警の責任追及を求めて、27人の被害者が国家賠償請求訴訟を提起して闘ってきた事件で、この7月に県警が謝罪と再発防止を誓う被害者勝利の和解が成立した。

 岩下は警察大学校などで再三訓練を受けながら、日本共産党員に接近して情報収集の協力者(スパイ)に仕立て上げる活動に長期間従事しており、その仕事ぶりは、病院に勤務する青年に「遊びに行かないか」としつこく誘う、「赤旗」販売所員に「月8万円で情報を売らないか」と迫る、高校の先輩に当たる市会議員には「先輩元気ですか」と近づくなど、ターゲットにした者に5年でも10年でもしつこくつきまとうもの。「仕事自体が外回りの、ほとんど 80 90%仕事だか遊びだかわかんないような仕事」だった。

 一方、裁判中であった2000年3月までの半年間に、7つの県を除く全国ほとんどで事件もみ消し・わいせつ行為・捜査情報の漏洩など168件の不祥事が発生し439人が処分を受け(昨年までの5年間ではなんと1559人)、逮捕などは113人にのぼった。長野県でも、知人の女性宅に電話して、「山にさらって殺して埋めてやる。山口組をなめんなよ」「おまえの家をめちゃめちゃにしてやる」と再三脅す、夜中に会社事務所に上がり込んで居座り、会社員たちの後頭部をたたくなどの暴行をしたなど3件発生。60%が警察を信用していないと回答するに至り、もはや警察官のモラルは落ちるところまで落ちた。

 なぜここまで落ちるのか。警察は組織をあげて戦前から日本共産党に打撃を加える活動に精を出している。戦前は戦争に反対する人々数十万人を根こそぎ捕らえ、拷問を加えて1697人の命を奪った。諏訪市出身の日本共産党員伊藤千代子も、1年5ヶ月にわたる監禁拷問によって 24才の命を閉じた。戦後は、「警察は共産党を打ち破る前衛」と宣言して、日本共産党が国民の支持を得て強くなることを押しとどめようと必死になっている。それは、日本の権力を握る者から警察に託された任務。しかし、そんなことは、思想・信条・表現・結社の自由という基本的人権、というより人道を踏みにじる非道な行為だ。そこから警察官の中に矛盾・葛藤が生まれ、心がねじ曲げられ人間として堕落していくのである。警備部門が金を湯水のごとく使い出世もし、一方で軽視される捜査部門が担当する犯罪検挙率が 20%台に落ちた。いやにもなるだろう。警備公安警察を廃止せよ。
  (弁護士 毛利正道  しらかば 2002年11月号)



 

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