これまでに取り組んだ事件

飯田高校検証委員会が提言を公表

田中知事「具体化に向け、迅速に着実・的確に行う」と実行を約束

生徒集団による殺人事件から11年
 今から11年前の1992年1月10日に、県立飯田高校で、5人の生徒が関与して、2年生の小野寺仁君が殺害される事件が起きました。学校が、被害者である小野寺さんのご両親に対し、知っている事実すら伝えないとの冷たい姿勢をとったため、ご両親は四面楚歌の中、長野県の管理責任を問う民事裁判を提起。途中何度も解決の機会があったのに、最高裁でご両親の言い分が認められて裁判が終わるまで10年を費やしました。
 知事になったばかりの田中知事がご両親に謝罪し、なぜ10年も争わなければならなかったのか、そこから教訓を得る必要があるとして、昨年4月に検証委員会を発足させました。その委員には、途中から委員長となった毛利弁護士や有識者の他、被害者の小野寺さんの父親と県教育委員会のメンバーという裁判の原告と被告がともに就任し、発足当初は果たしてまとまった結論を出せるものか不安もありました。
 その中で、10人の委員は1年間に合宿を含む11回の審理と、他の事件・自殺による被害者からの意見聴取、現地見分・アンケート調査・パブリックコメントの聴取などを精力的に行って提言をまとめ、この4月2日に、瀬良教育長と田中知事に会って、その実行を申し入れたものです。

被害者アドバイザーなど「長野モデル」の提言なる
 提言は、事件が起こった直後に学校が、どのような事件がなぜおきたのか、2度と起きないようにするためにはどうすればよいのかを検証する姿勢を欠いていた事がこのように問題を長期間こじらせた原因との視点に立ち、児童生徒の安全と成長を両立させる角度から多くの施策を提起しており、あわせて、3者協議会など「子どものための学校」をよみがえらせる根本施策を検討課題として提起しています。
 第1は、重大事件が起こったときの対策で、事件が発生した直後に被害者宅にその身になって寄り添う専門の「被害者アドバイザー」を派遣し、その一方、学校長が責任を全う出来るようにサポートチームを結成する、謝罪や事実公表を的確に行うなど10点。
 第2は、重大事件を未然に防ぐための施策で、児童生徒・教職員が犯罪被疑者の話を聞く機会を設ける、暴力事件などをおこした生徒に対して、「自分も他者もかけがえのない大切な存在」と認識し、被害者に謝罪などを実際に行うところまで3人以上の教職員で集団指導にあたる、それでも効果ないときには立ち直りを期待して家庭裁判所に通告して審判してもらうなど4点。
 提言と委員会の議事録・新聞記事などは、ホームページ「弁護士 毛利正道のページ」に詳しく掲載されています。

「私の人生の画期」  毛利弁護士語る
それまでの運営が民主的でなかったとして、昨年10月の委員会で突如委員長を引き受けることになったこともあり、民主的運営に努め、自作の提言案を9回書き直しました。私としても、ここ10年近い加害被害少年犯罪への取り組みや50回を超えた「子育てキーワード」講演の集大成となり、人生のひとつの画期ともなる充実したものになりました。瀬良教育長が、最後の委員会で、涙ながらに「本当に申し訳なかった」と心のこもった謝罪をし、小野寺さんが立ち上がって深く礼をされたところに私も涙しながら立ち会い、ここまでやりぬいて本当によかったと思いました。幸い、知事・教育長が提言の全面的な実行を約束してくれ、その一環として、この春は私も県下全小中高校長などへの説明(講義)を務めます。

(しらかば 2003.4)


 

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