「伊那市住民訴訟」はじまる
伊那市民126名が小坂樫男市長を被告として起こした住民訴訟が、この3月、長野地裁ではじまりました。この裁判は、伊那市土地開発公社の契約方法の違法性を明らかにしつつ、このような違法な行為を長年にわたり許してきた伊那市長の責任を問うというものです。
公社がおこなってきた契約方法とは、「見積入札」と称し、見積書を出させた複数の業者の中から、入札者の立合をおかず職員だけで開札するという前代未聞の契約方法で、官製談合の温床ともなる極めて不透明なものでした。これにより、平成13年度から18年度までの5年間(15年度はなし)において、契約額が1000万円以上となった大口3件のうち、全てをR社が落札し、契約額500万円以上の3件のうち2件についても継続業務を理由にR社が請負という偏った結果が生じました(ちなみに平成14年度と17年度は全ての契約をR社が受注し、この5年間全体では契約額の73%をR社が占めました)。しかもR社が落札した平成17年度契約額1000万円以上の2件とも落札率が97.9%という高率であることも分かってきました。
これに対し、市側は、公社には地方自治法の適用がない(したがって契約方法に制限はない)から見積入札であっても法的には問題がない等として全面対決の姿勢をとっています。たしかに、公社は市とは別法人ですが、市の全額出資で設立され、市長が理事長を務め、市職員が公社職員として派遣され、市庁舎の一部を事務所として無償貸与を受け、市が本来なすべき業務の一部を請負ために設けられた公的な組織です。このような性格を持つ公社は、地方公共団体同様に地方自治法等の法令に従って公正に運営されなければなりません。
市側の開き直った態度は市民の疑念を深めるばかりです。公正な入札を実現する伊那市民の会ではみなさんからの物心両面のご支援を呼びかけています。
(しらかば 2008.4)
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