13才少女の命が奪われた
周囲に人家が多い幹線道路(直線)の信号機のない横断歩道で、夜間、歩いて渡っていたYさん(13才)が、右方から来た車両に跳ねられ死亡しました。Yさんは、道路端でしばらく立っていましたが、右方の車が時速35kmと比較的低速で、しかも左方からの車が横断歩道手前で停止するために減速してくれたため、横断しても大丈夫と思ったのでしょう。一方、跳ねた運転者から立っていたYさんを発見することは十分できる状況でしたが、Yさんを発見することなく、徐行もしていませんでした。
判決「被害者に過失あり」
この事故について、ご両親が加害者に大きな過失があると主張して損害賠償請求の裁判をおこしましたが、裁判所は加害者に大きな過失はなく、一方、被害者に過失があったとして、全損害額から5%カットしました。ご両親は到底納得できないとして控訴しました。
この事故で加害者は、横断歩道端に立っていたYさんを見落とすという前方注視義務違反と、横断者がいないことが明らかでない場合に徐行する義務違反、二つの不注意を侵しています。それでも、単なる普通の過失しかないことになるのでしょうか。
一方Yさんは、夜間だと運転者から歩行者が見えにくい(のにあえて横断した)ことを理由に、被害者にも不注意があったとして数百万円の損害金を削られました。
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左から右に横断しているとき、手前から来た車にはねられた
(現在の現場状況) |
歩行者の「聖域」なのに
横断歩道は「歩道」であり、交通弱者である歩行者にとって「聖域」(警察官の言葉)です。だからこそ、「横断しようとする者がいないことが明らかな場合」でない限り、運転者に、横断歩道手前で直ちに停止できる速度で進行しなければならない「徐行義務」が課せられているのです(むろん、信号機をたくさん設置するなど行政のやるべきことは多いのですが、ここではあえてふれません)。でも横断歩道での事故が目立ちます。皆さんは横断歩道の端に歩行者がいるかいつもよく注意していますか。
(しらかば 2005.10)
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