主な出来事
あまりにも早かった菊地弁護士の急逝
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菊地弁護士を偲ぶ会 |
昨年8月7日に急逝した「菊地弁護士を偲ぶ会」が12月4日事務所と自由法曹団長野県支部の共催で開かれました。修習生当時の同級生であった大阪の杉山彬先生にもご出席頂き、若かりし頃の思い出を語って頂きました。
各分野での故人の活躍の場面がしみじみと語られ、参加いただいたご家族にも家庭では見られなかった、弁護士としての様々な活動に接することができたと思います。
団総会と所員旅行
闘病中、奥さんと「二人で旅行したい」と言っていた菊地弁護士。菊地弁護士が古稀団員として表彰された、11月徳島での自由法曹団総会には奥さんも参加され、所員とつかの間の徳島旅行を楽しまれました。菊地弁護士もきっと喜んでくれたと思います。
解散・総選挙 盆休み返上で大奮闘
菊地弁護士の葬儀に引き続き休む間もなく解散・総選挙でした。
比例で立候補した木島日出夫さんの当選を目指して、盆休みを返上し、仕事をこなしながらの選挙活動に奮闘。短期間に従来になく頑張りましたが、結果に愕然としました。
Mさんが専属アナウンサーとして活躍。新潟・北陸でも日本共産党に期待のする支持者の暖かい励ましと、木島さんの気迫に感動し、長期間の任務を全うしました。
読者の皆様にもご協力頂きありがとうございました。
事件関係
塚原学園闘争
塚原学園の闘争が、昨年3月全面解決に至りました。
塚原嘉代子元理事長による組合攻撃から約9年の闘争でした。長く厳しい闘いでしたが、多くのご支援により勝利的和解の成立となりました。
トンネルじん肺根絶訴訟
国の責任を追及する訴訟は、長野を含め全国各地の裁判所でたたかっています。
今年は、いよいよ、国の責任を追及する正念場となります。昨年は、その支援のために「なくせじん肺アスベスト県民の集い」を開催し大成功を収めました。今後もご支援よろしくお願いします。
土石流災害訴訟
この訴訟は、平成8年12月6日に蒲原沢で発生した土石流により死亡した下請作業員の遺族らが原告となり、長野県と国を相手に平成11年に提訴した国賠訴訟です。
この災害は、その前年に発生した土石流で新国界橋が流出したため、その復旧工事に従事していた下請作業員が犠牲になったもので、危険予知は十分可能であったはずです。天災でかたずけられるものではけっしてありません。
大日岳雪崩事故訴訟
平成12年3月、文部科学省登山研修所の冬山登山研修に参加した学生らが、研修所講師2名に引率されて大日岳登山をした際、頂上の雪庇が崩落して、何名かの研修生が巻き込まれ、尊い2名の命が失われた事故です。
この訴訟は、死亡した2名の遺族らが国に対して平成14年に提訴(富山地裁)した国賠訴訟です。弁護団は、裁判の期日には富山まで出かけ、また、数回の現地調査をするなどたいへん苦労した事件ですが、ようやく今年3月判決です。苦労が報われるよう祈りたいと思います。
平和と人権、戦争責任を問う裁判
イラク派兵差止訴訟
日本政府による自衛隊派兵が違憲だとして、派兵差し止めを求めて、全国12の裁判所に約5600人の原告が提訴しました(弁護団は約800人)。このうち、甲府地裁においては、証人調べを一切しないとの決定をした裁判官が、逃げるように小走りに退廷した姿は、司法が権力に屈した現場を見たようでした。
中国人強制連行(戦後補償裁判)
中国各地から700万人が強制連行され、「満州」の炭鉱、日本のダム建設等の現場で酷使され200万人が死亡しました。働き手が連行され残された700万の家族も大変な思いをしました。
戦後補償裁判全体では、何百人もの韓国・台湾・中国・フィリピンなどの人々が全国で約100の裁判所に訴えて来ています。壁は厚いのですが、いくつも勝利しています。長野の中国人強制連行裁判も3月に結果が出ます。
中国残留孤児裁判
敗戦時、肉親と死別・離別して旧「満州」に長期間取り残され、中国に残留せざるを得なかった孤児のおよそ8割に当たる約2000名が、全国15ヶ所の裁判所で国を被告とした国家賠償請求訴訟を提起しています。
当時置き去りにされた0歳から12歳の子供たちが現在60歳から72歳になっています。日本に帰国して10年経ても日本語が話せない等の理由で仕事にも就けず貧困と孤独の人生を送っています。この裁判は、国の責任による生活支援を実現することにあります。
以上のように自民党の国策と真っ向対決する困難な裁判に次々と立ち上がる人々の姿は、驚嘆に値します。
サラ金・クレジット被害
サラ金被害者
貸金業者は、以前は50万円の限度で貸付をしていたのに、このごろは、100万150万という大金を貸し付けるようになりました。不動産を担保に数百万円を貸し付ける業者もあります。債務者は返済することができず、家を手放さざるを得ないという人も多くなっています。
債務者は利息だけの支払に追われて元金は減らない、そういう意味では被害者です。
また、以前は、多重債務者がその債務を一本化するために低金利の銀行に頼るというケースがありましたが、今は銀行も、サラ金と提携するなどして、高金利の貸付を行うようになっています。
貸金業者の取引履歴開示義務
個人情報保護等を名目に取引履歴を開示しない業者に対して、昨年7月に「貸金業者は保存しているすべての取引履歴を開示する義務を負う」との最高裁判決がありました。そしてこの判決を受け、金融庁事務ガイドラインも貸金業者の取引履歴の開示義務を明確化し、不開示は、貸金業法13条2項に該当し違法としました(2005年11月14日実施)。
ヤミ金被害
こういう相談もありました。サラ金等の返済に困り、手元にあったDMに記された電話番号に電話すると「保証料が必要だ。保証料は返還する。」と言われる。金を借りたいばかりに何度も金を振り込み、合計で数百万円になってしまった。挙句の果てに一銭も借りられないまま連絡がつかなくなってしまった。
借りるために金を払うなんてことがあるはずがないのですが、切羽詰まるとこういう詐欺に遭います。気をつけましょう。
ヤミ金への罰則が強化されて以来、下火にはなっているものの、さらに巧妙になってきています。たとえば、架空請求のはがきが、裁判所や法務局等の公的機関からのものに見せかけたりして、信用情報に縁のない人にもどんどん送られて来ます。つい、引っかかってしまう人がいます。
振り込め詐欺
「ご主人が事故を起こして子供が病院に運ばれた」などと、警察官を装った男から電話が来て、二つの銀行口座に数回にわたって合計約600万円を振り込んでしまったという事件がありました。
振り込め詐欺とわかった後、警察に届け、口座が凍結されましたが、既に約450万円が引き出された後でした。皆さん気をつけましょう。
サラ金やヤミ金の被害が無くならない理由の一つとして、社会の底流に貧困化の現状があります。若い人が、派遣社員やフリーターとして収入が10万円に満たない人も多く、20万円に満たない人がほとんどです。一人で2つも3つも仕事を掛け持ちしないと生活できないという人もいます。若い人の雇用の確保は急務と言えます。
岡谷市にも消費生活センターが開設されました(岡谷駅前のララ岡谷内)。土日も利用できます。
弁護士会の活動
説明責任 その理論と実務 出版
昨年は長野県弁護士会が関東十県会夏季研修のテーマ「説明責任」の研究の成果を冊子として出版する事業を担当し、相馬弁護士が編集副委員長として、執筆・編集にあたりました。
出版された本は各種の専門分野で利用できる画期的な実務専門書です。
各分野の運動
平和運動
昨年は、政府の改憲の動きを見据えた憲法を守る運動、平和の運動が全国各地で高まり、県内、諏訪地方でも多くの集会や行動に取組みました。所員もそれぞれの立場で様々な関わりを持ちました。
各集会への参加者数では、どの取組みも会場満杯になるような盛況でした。
改憲派の動きも急で危機感は消えませんが、一昨年には考えられなかった、展望がもてる立上がりでした。
また、昨年は久々に事務所でも平和行進に参加しました。
長野県税金オンブズマン
2004年4月、三重県で地方税管理回収機構が発足し、固定資産税等の滞納者に対し、専門に強制執行をする仕組みができました。
機構が自治体より強権的に差押をすることは、地方自治の根幹にもふれることです。
三重県での税金滞納者数は、平成になって以来3倍にも達していますが、「経済的にも厳しい中で、何とか分割でと努力している最中に、生命保険等解約させるなどは、主人公たる住民への人権侵害の極みだ」として、毛利弁護士と県内の税理士2名を含む10人で調査に行きました。このような機構が広がらないよう監視が必要です。
救援美術展
12月9~11日国民救援会が主催する救援美術展が開かれました。美術展は、当初菊地弁護士が実行委員長を務めるはずでしたが、果たせませんでした。偲ぶ会で救援会長野県本部からご家族に贈呈された菊地弁護士の肖像画は、救援会のために尽力した功績に対し、美術展出展者のひとり洋画家安達茂人氏が制作した作品です。
日本AALA
12月、若者たちが中国の戦争の傷跡を視察(毛利弁護士が参加)。事前の勉強会等にも取り組みました。
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