事務所ニュースしらかば

しらかば 第103

≪ごあいさつ≫弁護士木嶋日出夫
≪サラ金問題を考える≫
≪なんと6億1256万円!急増している融資保証金詐欺に注意を≫
≪横断歩行者がいるとき、あなたは・・・その後≫
≪離婚と年金分割≫
≪毛利栄子の ~県政さわやか報告~≫
≪活動紹介 日の出山の会≫

 

≪ごあいさつ≫弁護士木嶋日出夫

 「しらかば」読者のみなさん。
 私は、次期総選挙に立候補せず弁護士活動に戻ることを、去る2月6日の記者会見で発表し、在籍している信州しらかば法律事務所で弁護士としての仕事を再開いたしました。
 昨年9月の総選挙で、みなさんの熱いご支援をうけ、北陸信越ブロックでの日本共産党の衆院議席を奪回すべく全力を尽くしてきましたが、議席回復はなりませんでした。
 この間、次期総選挙への立候補問題について熟慮してきましたが、今年還暦をむかえる年齢や体力を考え、この際、次期総選挙には思い切って若い候補者を擁立したほうがよいとの結論にいたりました。若返りによって党の活性化をはかり、広大な北陸信越ブロックでの議席を取りもどすためにも、また将来にわたり長期的に議員活動できる政治家を育てることで国民のみなさんに対する党の政治的責任を果たす上でもベターだと考えたのです。
 私は、1977年7月の参院選長野地方区にはじめて立候補して以来10回の国政選挙を候補者としてたたかい、90年2月の総選挙で初当選させていただいてから3期10年間衆議院議員としての活動をしてきました。

山口さんへバトンタッチの記者会見

 長いあいだの私の議員・候補者活動を支えてくださった「しらかば」読者の皆さんや法律事務所の同僚の皆さんに心からの感謝を申し上げます。
私は、参院選候補者の時代は、候補者活動と弁護士活動を並行して行なってきましたが、衆議院議員になった90年2月からは、議員活動に専念し、弁護士としての活動はとめておりましたので、実に16年ぶりの弁護士活動の再開となります。
この間、裁判制度をめぐる状況も、所属する法律事務所や長野県弁護士会の状況も大きく変化しており、いまは浦島太郎の心境です。一人前の弁護士としての仕事ができるか不安もありますが、1日も早く法律実務になれて、皆さんの期待に応えたいと思っています。幸い私は、衆議院在職中は法務委員として民事法・刑事法・司法制度などの改正に直接に携わってきましたので、弁護士としての感覚もすぐに取り戻せるのではないかと思います。
また、長い間の議員活動をつうじて培った経験を生かして、いま国政上の大きな問題になっている憲法改悪や消費税大増税、福祉の切捨てなどに立ち向かい、国政の民主的改革のためにも力を尽くしたいと思います。
今後とも、どうかよろしくお願い申し上げます。

(しらかば 2006.3)

 

≪サラ金問題を考える≫

1、違法な高金利による、サラ金大儲けの仕組み
 大手サラ金5社(アイフル、アコム、三洋信販、武富士、プロミス)は、昨年だけで、5202億円の経常利益を上げています(5社合計、2005年3月期)。
 大手サラ金5社の有価証券報告書によると、それぞれのサラ金業者は、住友信託銀行、みずほ信託銀行などから年利1.61%~1.88%という低金利で資金を調達し、年利27%前後の金利で消費者に対して貸付をしています。これが大儲けできる仕組みです。

2、最高裁も認めた、利息制限法を超える違法な貸付
 利息制限法では、年利18%(借入元本額が10万円以上100万円未満)を超えて支払った部分の利息は無効とされていますが、罰則規定はありません。罰則規定がある出資法の上限金利は年利29.2%ですので、サラ金は27%前後の金利で貸付をしているわけです。
 貸金業法43条は、「サラ金業者は、債務者との間で金銭の貸付及び受領をする際に、法律に定められた書面の交付をし、かつ債務者が利息制限法を超える利息を任意に支払った場合にのみ、有効な利息とする」旨を規定しています。
 サラ金から借り入れする際、ほとんどの契約書には、「元金及び利息の支払いを遅滞したときには、直ちに元利金を一括で支払う」旨の条文があります。
 今年に入って最高裁判所は、相次いで、「上記の条文があるために、債務者は、年利18%を超える利息部分を事実上強制的に支払うことになり、任意に支払ったとはいえない」との判決を出しています。

3、サラ金の顧客数の実態
 昨年3月末時点の上記大手サラ金5社の顧客数は約1054万件です。重複している可能性もありますが、他の業者を含めると、数百万人の人がサラ金から借入をしていることになります。
 サラ金から一度借入をすると、長期間、強制的に年利18%を超える違法な利息を支払い続けるため、多重債務に陥る可能性が高くなります。

4、債務整理のすすめ
 サラ金から借入をしている人で、「今は何とか支払っていけるから大丈夫」という人もいますが、違法な金利を払い続けることにかわりありません。長期間違法な金利を払い続けていたため、年利18%で計算し直したら、借入残高が0円若しくは払いすぎていたというケースもあります。
 サラ金から借入のある人は(または身近にいましたら)、一度法律事務所に相談することをお勧めします。

(しらかば 2006.3)


≪なんと6億1256万円!急増している融資保証金詐欺に注意を≫

 この金額は、県警捜査2課がまとめた昨年1年間に長野県内で発生した振り込め詐欺による被害総額です。特に県内ではダイレクトメールなどで低利率融資をうたって金を騙し取る「融資保証金詐欺」の手口による被害が急増しています。だましの手口をAさんの事例で紹介します。
 資金繰りで苦しんでいたAさんの元に、有名企業の名に似せた業者から、「審査済み融資可能額200万円」「融資利率12.38%」「担保保証人原則不要」「即日融資可能」などと記載されたダイレクトメールが送付されました。Aさんが電話で融資を申し込むと、業者曰く、融資するにはまず保証金として20万円を振り込んでいただく必要がある、とのこと。Aさんは、20万円を振り込めば即融資が実行され、保証金も直ちに返還されるとの業者の説明を信じて指定口座に20万円を振り込みますが、その後いくら待てども業者からは200万円の入金がありません。不安に感じたAさんが業者に連絡すると、「あなたに借金があることが判明した。あなたの集金能力をみるためにさらに30万円を振り込んで戴く必要がある」などと要求され、Aさんは更になけなしの30万円を振り込んでしまいます。その後も業者からは何の音沙汰ないため再びAさんから業者へ・・・。すると今度は、「あなたは高齢だから保証人が必要。保証人を立てられないのならあと30万円振り込むように」と更なる振込みの要求。ようやくおかしいことに気付いたAさんは、警察へ駆け込み、詐欺にあったことを自覚します。業者は、警察官に対し、3週間後に50万円全額返すから、詐欺ではないと言い張りましたが、3週間後に業者からの返金がなかったことは言うまでもありません。電話も不通となり住所もデタラメであることが判りました。その後Aさんは、住所氏名不詳者の業者を詐欺罪で告訴しましたが、いまだに50万円は戻って来ません。
 うまい話には近づかないことが肝心です。少しでもおかしいと思ったら、最寄りの消費者センターなり法律事務所にお気軽にご相談下さい。


(しらかば 2006.3)


≪横断歩行者がいるとき、あなたは・・・その後≫


 しらかば101号でご紹介した、横断歩道を横断中に車に跳ねられ亡くなったYさんのご両親が、被害者にも過失(5%)があったという判決に納得できず控訴した裁判が、東京高等裁判所でこのほど和解となりましたのでご報告します。
 控訴審がはじまってまもなく、高裁から和解案が提示される運びになりました。その和解案が次回の裁判の期日までにまとまらなければ、次回は判決言渡と決まっていました。
裁判官が作成して届けられた書面には、「和解条項のなかに、『加害者の一方的な過失により』、『落ち度のない』被害者の生命を奪ったことについて『深く謝罪する』との文言を入れる」ことが提示され、損害金額については、原審で被害者の過失の分としてカットされた5%を上回る金額が加算されていました。かけがえのないお子さんを失ったご両親の想いに対し、高裁が配慮をした内容の和解案でした。
 加害者もこの和解案を受け入れ、先日事件は終了しました。
 Yさんには将来の夢があり、そのために頑張っていたということでしたから、その夢が実現したらどんな人生が待っていたかを思えばなおのこと、ご両親の悲しみや無念さがこれで晴れるわけではありませんが、裁判がこのような結果になったことが、いくらかでも気持ちの救いになってもらえればと思います。
 この件については、本当に沢山のアンケートの回答をみなさんから寄せていただきました。ありがとうございました。
 
(しらかば 2006.3)



≪離婚と年金分割≫

 結婚生活20年以上の夫婦の離婚件数は、1年間に4万件以上となっています。離婚した場合、わが国の男女の雇用の格差(賃金)が激しく、老後の年金の平均額は、男性約200万円に対し、女性は80万円弱といったところです。
 今まで法律は、年金を貰う権利は個人のものという考えでした。しかし、そもそも夫が外で働けるのは、妻のサポートがあってこそ、家事や育児だって大変な労働に違いないのに年金には反映されていない。80万円弱では、女性は自分の年金だけでは到底暮らせない。このような事情を考慮して、離婚時に厚生年金の分割が可能となる仕組みが設けられることになりました。
 年金分割までに離婚したい。離婚したいが年金分割まで待ちたい。という相談も見受けられるようになりました。

 年金分割の概要は次のとおりです。
(1) 離婚時の分割(平成19年4月実施)
平成19年4月以降に離婚した場合、結婚している期間(対象期間)に支払った保険料は、夫婦が共同で納めたものとみなして、将来の年金額を計算しようというのが年金分割です。
 つまり、専業主婦の場合は、夫が支払った保険料の一部(最大半分まで)を妻が支払ったものとして、将来の年金額が計算されることになります。
 共稼ぎの場合は、足して2で割って半分ずつまでとなります。
(2) 分割のしくみ
① 分割の割合については、両者で協議して決め、原則、離婚後2年以内に社会保険事務所に請求しますが、まとまらない時は、一方の求めによって、裁判所が分割割合を定めることになります。
② 3号分割(平成20年4月実施)
 3号被保険者(専業主婦時代)の分割請求は、協議は不要で、その人の請求だけで、分割が行われることになります。
 以上が、離婚に伴う年金分割の概要です。一部週刊誌には「平成20年以降離婚すれば請求だけで半分貰える」などという記事もあり、誤解もあるようです。
 しかし、分割の対象となる年金は、婚姻継続期間の年金で、分割方法は話し合いが原則(まとまらない時は裁判所の決定)です。確実に半分が貰えるわけではありませんので、ご注意下さい。 

(しらかば 2006.3)


≪毛利栄子の ~県政さわやか報告~≫

「これがまあ 終の棲家か 雪5尺」  小林 一茶

 この冬は20年ぶりともいえる記録的な豪雪。
県議団も栄村、飯山市、木島平村、野沢温泉村、中野市、信濃町など何度かに渡って現地調査。自治体や住民の皆さんの声をお聞きし、党国会議員団などとも連携をとりながら県交渉を重ねてきました。

栄村では4メートルもの積雪で飯山線は全面通行止め。冬場は雪崩の常襲地帯で長野県側から秋山郷への村道は春になるまで通行止めになり、村を離れて暮らさざるを得ない人もいるほど。唯一新潟県津南町から入れた国道405号も雪崩の危険から全面通行止めでまったく孤立状態。災害救助法の適用や自衛隊の派遣、ヘリコプターでの医師派遣など初めてづくしで対応の日々。

 要望を国に届ける中で災害救助法適用以前の死亡やケガ、家屋の損壊にも、さかのぼって見舞金を支給、市町村の除雪費が底をつくなか、特別交付税の前倒し交付、雪下ろしの補助基準が住居への出入りのための排雪にも適用できるなど、沢山の前進がありました。

 なかでも党村議が「栄村にも春が来る!」と大喜びしたのは、長い間の懸案だった、冬場に全面通行止めになる村道が県道に認定され、県として責任をもってきちんと整備することになったこと。この問題は党県議団が「大型農道をあけることと、冬でもきちんと暮らせるように生活道路をあけることとどちらが優先なのか」と従来強くもとめてきたことです。知事の「長野県がこれまでどうしてこのようなことにお金をかけてこなかったのか」という恨み節もありましたが、不要なダムに300憶、400憶かけるよりこのようなことこそ住民は求めているし、必要なのではないでしょうか。


≪活動紹介 日の出山の会≫

 山の会は1990年の総選挙で木嶋さんが初当選したとき、当時の諏訪地区委員会に勤務していた機関紙担当者と林百郎事務所に勤務していた女性二人から「木嶋さんの当選を祝って山に登ろう」「後援会として山の会を作って継続していこう」と話が出されました。
 山好きだった林豊太郎弁護士に会長をお願いして、木嶋さんの名前から「日の出山の会」として発足しました。最初は4月に守屋山に登り16名ほど参加でした。事務所からは菊地先生が参加をして「せっかくだから温泉に入っていこう」とおっしゃって諏訪の片倉館に入ったのを覚えています。
 毎年年度初めに「年間計画」を、地区全体に「山に登りたい方・自然に親しみ交流を深め・温泉を楽しみたい方ならどなたでも」とお知らせ宣伝。行動範囲も里山・古道から高い峰へ、参加者は諏訪地区から全県へ毎回マイクロバス1台で行動しています。
 木嶋先生は北岳・常念岳等発足当時は毎年参加していただきましたが、選挙制度の改悪によって参加が年々難しくなってしまったことが残念なことでした。
 みなさんの協力のおかげで16年間約150以上の峰に登ることができました。温泉も約100ヶ所楽しむことができました。当初考えも及ばなかった北海道の利尻岳・屋久島宮之浦岳なども登ることができました。発足当時から故豊太郎弁護士・故菊地弁護士には会の会長として協力いただき、事務職員の方には裏方として、事務所は山行基地として事務所全体で協力いただいてきたことが、今日まで続いてきた大きな要因になっています。
 今年は会が発足して17年目です。発足年に登った北岳登山をはじめ楽しく行動していきますのでよろしくお願いいたします。

日本共産党後援会 日の出山の会

(しらかば 2006.3)


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