事務所ニュースしらかば

しらかば 第105

≪巻頭言≫
≪コラム(握手)≫
≪隣国=韓国の人と友だちになろう≫
≪民事介入暴力対策長野大会≫
≪安倍政権と憲法≫
≪毛利栄子の ~県政さわやか報告~≫

 

≪巻頭言≫

 個人の破産申立の件数を合計すると、ここ5年間で約100万人の人が破産をしています。破産予備軍と呼ばれる人も、全国で200万人に達するといわれており、経済生活問題を理由とする自殺者は、年間約8000人にも及んでいます。また、当法律事務所に相談に見える方の中でも、最も多いのが多重債務です。
 「格差社会」と呼ばれる今日、多重債務に陥る人は、ますます増えていくと考えられます。
 8月に、当法律事務所が呼びかけて、多重債務被害者救済のための交流・研究会を行いました。様々な立場の方が参加され、真剣な討論がされました。
 まだまだ、どこに相談していいのかわからず、ひとり多重債務で苦しんでいる方が多く存在することは間違いありません。その人たちに、どう手を差し伸べることが出来るのか、今後の課題です。
 今般、出資法の上限金利の引き下げが国会で議論されようとしています。しかし、金融庁及び自民党の案は、利息制限法の上限金利を上げる内容となっており、また、少額貸付について、金利の特例を設ける内容となっています。
 私たちは、出資法の金利を、一切の特例なく、現行の利息制限法まで引き下げるよう、強く求めるものです。

 

≪コラム(握手)≫

 「ドクくんが結婚する」という記事が目にとまりました。お相手は中学時代のクラスメート。所内の回覧でまわってきた民医連の「いつでも元気」という月刊誌に掲載されたフォトジャーナリストの中村梧郎さんの記事です。
 1981年に中部ベトナムで誕生したベトちゃんドクちゃんは腹部で体を結合させたままの状態で生まれました。彼らの両親は、ベトナム戦争後、サタイという場所へ開拓に行きましたが、そこは、ベトナム戦争中、米軍によって行われた枯葉剤散布で山の水が汚染されていたのです。思いもしないことでした。
 1988年の16時間にも及ぶ分離手術をくぐりぬけ、2人は今25歳、ベトは急性脳症の後遺症で言葉と行動の自由も奪われ寝たきりのままとなってしまっていますが、ドクは病院の正規事務職員として働き12月には家庭を持ちます。


≪隣国=韓国の人と友だちになろう≫

 ユース8人・シニア5名による、AALAユースネット長野主催「世代を繋ぐ旅・韓国」に、9月15日から6日間参加してきました。私にとっては6度目の訪韓でしたが、感動の連続で胸はち切れそう。また、若返りました。20日午前の最後のしゃべり場で私が発言したことを紹介してご報告とします。

「この繋がりは誰も断ち切れない」
―私が今回のツアーで最も感動したのは、2日目の「アジア平和と歴史教科書連帯」など十数人の韓国ユースとのミニシンポでの、かおるさんの発言でした。「韓国に何度も来ているうちに友だちが出来た。私は、伊那で長靴を履いて野菜を作っているが、その友だちに送って食べさせてやりたいと思う。国対国でやっていることは、畑つくっている私にはどうすることも出来ないけど、友だちを持って思い続けることはできるし、この繋がりはだれも断ち切ることは出来ない。日本に帰って、韓国の人と友だちになりたい人を増やしたい」というものでした。

西大門刑務所前で

「不信感あることが世界標準」
私が2年前にユースとカンボジア・ベトナムに行ったときに一番感じたこと。それは、長い歴史の中では隣国同士攻めたり攻められたりしているし、一つの国の中にいくつもの民族が同居していて習慣も違う。互いにそれなりの不信感を持っている、それが世界標準の当たり前の姿。そのなかで、だからこそ、不信や紛争の種があっても戦争につながらないように平和的に解決する努力をしているのだ。ところが、日本は島国で周り見てもほとんど日本人なので、その努力が大切ということを自覚して来なかった。それで、竹島問題一つあるだけで大騒ぎする。

「顔の見える関係こそ」
なんと言っても、韓国は、沖縄に行くよりも近い隣の国で大昔から切っても切れない深い関係がある。だからこそ、また、もめ事も起きやすい。そこで大事なことは、「日本人と韓国人」という抽象的な関係だけでなく、顔の見える友だちを持つことだ。昔、関東大震災の時に、「暴動を起こす」というデマに踊らされて、日本人が一万人近い韓国人を殺した。燃えさかる炎の中に、鳶口(とびぐち)で引っかけて韓国人を放り込んだということがあったが、他方、自分の近所に住んでいた顔見知りの韓国人を他の日本人から助けてやった。ひどい話の中にも、顔の見える関係がどんなに大切なものかよく分かる。これからの人生があるユースの皆さんは、ぜひ、かおるさんのように友だちを持って欲しい。―

とユースに注文しましたが、韓国語を知らない私でも韓国に友だちが出来るかもしれません。韓国に住み「ナヌムの家」を案内していただいた日本人の男性からは、すでにメールをいただきましたし、通訳をしていただいた韓国人のすてきな女性からは、「メル友になってもいい」とのお約束をしていただいたような感じですので。そうなれば最高ですね。
毛利正道  (しらかば 2006.10)




≪民事介入暴力対策長野大会≫

1.今年の7月14日、長野市で、民事介入暴力長野大会というものが開催されました。しらかばの読者の皆さんは、名前を聞いても、何の大会かがピンと来ないと思いますので、どういう大会かをご紹介します。
2.かなり前のことになりますが、「ミンボーの女」という映画があったことをご存じの方も多いかと思います。故伊丹十三さんが作った映画で、女性弁護士が暴力団と対決する内容のものでした。
 「民暴(ミンボー)」という言葉は、正式には「民事介入暴力」といいますが、暴力団が暴力を背景にして、資金を得るために、社会の様々な局面に介入する行為を意味します。例えば、典型的には、債権を回収する行為などですが、企業に言いがかりをつけて金員を脅し取ることや、行政機関が発注する公共工事にも介入することも少なくはありません。しかも、最近では、ヤミ金の背後に暴力団が存在することもわかってきていて、この問題なども民暴事件と言えるかもしれません。

民暴大会協議会の様子

3.ところで、昭和年代の末から平成の初め頃、世の中がバブルということもあり、暴力団が活発に活動し、対立抗争事件も多発しました。
このような状況にもかかわらず、なかなか、効果のある暴力団対策がとれずにいました。そこで、暴力団をターゲットにして、平成3年に「暴対法」という法律が制定されました。
暴対法により、暴力団対策の一環として、各都道府県単位で「暴追センター」という団体が設立されました。もちろん、長野県にもあります(長野市に)。
4.暴対法の効果もあって、徐々に暴力団員の数は減ったかに見えました。しかし、実際には、世間には見えないような形で、暴力団は勢力を伸ばしていました。例えば、正式な暴力団員ではなく暴力団関係者が増えていたり、あるいは、「フロント企業」と呼ばれる表向きは普通の会社だが実態は暴力団が経営者だという企業が増えたりしていました。
更には、オレオレ(振り込め)詐欺やヤミ金の背後にも暴力団が存在することが明らかになって来ました。
こういう状況で、暴追センターがどのような役割を果たせるかが問題となり、それを検討するために、今回の大会が開催されることになった訳です。
5.大会は、午前中の協議会(シンポジウムのようなもの)と午後の大会(セレモニーのようなもの)とにわかれていましたが、私は、成り行き上、協議会の責任者ということになってしまいました。
苦労話はしても仕方がありませんので、止めにしておきます。
ただ、皆さんの中にも、暴力団が関係する問題にぶつかる方はいるかもしれません。その時には、長野の暴追センターに相談することも考えてみて下さい。

弁護士 相馬弘昭  (しらかば 2006.10)




≪安倍政権と憲法≫

「初の戦後生まれの総理大臣」「美しい国づくり内閣」を看板にして、9月26日、安倍政権が誕生しました。安倍政権は、歯のうくようなスローガンで、いったい何をやろうとしているのでしょうか。
 9月29日の所信表明演説や単行本「美しい国へ」のなかに、それは見えてきます。「改憲」に照準がぴたりと合わされているのです。「世界とアジアのための日米同盟」がその目的であり、「集団的自衛権の行使」がその手段です。
 わかりやすく言えば、アメリカとともに、世界のどこへでも出かけて行って、戦争をすることが出来る日本をつくろうというのです。
 戦前、ヒットラー・ドイツと組んで世界を支配する野望には失敗したが、今度は、ブッシュ覇権主義・アメリカと組んで世界に覇をとなえようというのでしょうか。
 小泉政権では、アメリカが戦争をしているイラクにまで自衛隊は出て行った。しかし、武力を行使することが出来ないでいる。それは、今の憲法がじゃまをしているからだ。「じゃまものは消せ」ということなのでしょうか。
 安倍首相が、先の戦争が侵略戦争であったというまぎれもない歴史の真実を認めようとせず、先の戦争が自存自衛の正しい戦争だったという靖国神社への参拝を否定しないのは、そのためにほかなりません。
 安倍首相が「教育再生」を強調し、「教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家、社会をつくることです」といって、「個人の尊厳と平和を希求する人間の育成」を根本目的とした今の教育基本法を変えてしまおうとしているのも、このような「戦争国家」を担える人づくりが狙いでしょう。
 私は、戦後60年たったいま、日本の戦後政治史上、はじめて公然と改憲をかかげる政権が誕生したことに、慄然とする思いです。
 しかし、この道は、かならずアジア諸国や当のアメリカからも孤立するし、平和をねがう日本国民からも孤立するでしょう。
 いままさに歴史の転換点。平和の憲法のもつ生命力に確信をもってがんばろうではありませんか。  木嶋日出夫  (しらかば 2006.10)


≪毛利栄子の ~県政さわやか報告~≫

 村井知事になって1ヶ月がすぎました。大きな反対運動となっていた住民合意のない拙速な県立高校の統廃合問題は臨時議会で画期的な結果となりました。県教委が示した9つのケースのうち、3つを同意し、岡谷東・岡谷南高校の統合を含む残りの6つは共産党県議団の発案で成立した改正条例が威力を発揮し、不同意となりました。
 生徒数が減少傾向にある中で、将来にわたって1校も減らしてはならないということをいっているわけではありません。一方的に14校の削減を名指しし、46万もの反対署名や、度重なる陳情・請願、3回にも及ぶ議会の議決が在るにもかかわらず、暴走を続けたことに断が下されたのです。「県議の皆さんは僕達のために何をしてくれるんですか。」と立ち上がった高校生に、頑張れば政治は変わるし、変えられると示せたことは本当に嬉しいことです。

村井知事に、高校再編のあり方などの
申し入れをする県議団

県政の後戻りはイヤはみんなの思い
定例議会はいま代表質問の真っ最中。
知事選結果は村井氏61万、田中氏53万でしたが、どちらを選んだ有権者も「県政を後戻りさせたくない」の思いは共通しています。村井氏は自民党を離脱しているというものの自民党的であることは確かです。開かれた県政といいつつ副知事人事は、総務省からよんだ板倉氏と選対本部長であった前大町市長の腰原氏、政務をつかさどる特別秘書は小坂憲次自民党前文科大臣秘書を務めた平田氏と強固なメンバーで固めています。村井氏は混乱と停滞の田中県政から国と市町村の関係を修復させると言っていますが、そこには主人公である県民の意見を尊重するという姿勢がみえてきません。ガラス張り知事室は閉ざされ、県のホームページから田中知事時代の財政改革の成果や「公報ながのけん」がすべて消されています。
6年間の県政史が空白化し、戦後、教科書に墨を塗った時代さえ想起させます。
住民参加の基本は情報公開です。村井氏には公約どおり情報を県民に知らせ、田中知事になって大きくかわった県民意識をいっそう膨らませるためにきちんと手立てを尽くして欲しい。
なれあい県政では県民要求は実りません
自民党、県民クラブ・公明の代表質問が終わりましたが修正・否決・止まってばかりいた県政とは様変わり。質問原稿は理事者に事前に渡っているのか、質問者と同じようにページをくくります。1問1答で深夜までも時間をかけた質問はなくなり、知事をほめあげる歯の浮くような質問で初日は3時には閉会。県民からも「なれあい県政にしないためにも共産党にがんばってほしい」の激励も届いています。日本共産党は今までもこれからも真の県民益のために是々非々を貫いて頑張ります。



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