司法改革の流れの中で
最近、日本司法支援センター(法テラス)と裁判員制度がマスコミで良く取り上げられています。
法テラスは、06年10月から動き出しました。取り扱う業務は様々ですが、重要なものとして、情報提供があります。法律的な相談を希望する人に対して、相談窓口を教えることです。相談希望者がコールセンター(東京にあります)に電話すると、その人の住所に近い相談窓口を紹介するわけです。もちろん、法律事務所(弁護士)も紹介先となります。これまで、必ずしも市民の皆さんの需用に応じきれていなかったことは事実ですから、うまく機能すれば多くの紛争が早く解決できるようになると期待しています。
裁判員制度というのは、刑事裁判に一般の市民が参加するものです。これまで、裁判官、検察官、弁護士だけで裁判をやっていましたから、一般市民が裁判に参加するということは画期的な出来事です。一定の重大犯罪の刑事裁判について(殺人など)、裁判官が3人と一般の市民が6人(裁判員といいます)が一緒になって、有罪かどうか、有罪としてどれ位の刑が相当かを判断するわけです。新聞等のアンケートを見ると、自分は裁判員などやりたくないと考えている人が多いようです。しかし、折角、裁判に関わる制度ができたのですから、積極的に参加してもらいたいと思います。残念ながら、弁護士は裁判員にはなれません。
ところで、司法改革の1つに、法曹(弁護士、裁判官、検察官)人口の増加があります。従来、法曹は1年に500人~600人の増加でした。これをもっと増加させ、07年には約2,500人、その後は約3,000人ずつ増加することになります。私自身、弁護士を増やすことには大賛成です。市民の皆さんの要望に応じきれていないからです。しかし、弁護士(法律事務所)が増えてくると、これまでのような仕事のやり方で良いのかということも考えてしまいます。弁護士は、報酬を得る仕事だけではなく、様々な公益的活動もしています。今の司法改革の流れの中で、どうすれば公益的役割を果たせる弁護士制度を維持できるのかは難しい問題です。
いずれにしても、司法改革という流れは止まることはありませんので、市民の為になるように、また、我々弁護士の役割を前進させる方向で努力を続けるしかありません。
弁護士 相馬弘昭
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