事務所ニュースしらかば

しらかば 第107

≪巻頭言≫

 

≪巻頭言≫

 憲法の「いのちを全うする権利」を一層輝かせるため、
     改憲手続き法(国民投票法)を廃案にさせましょう


 イラクから帰ってきた自衛隊員7名が自死されました。比率でみると一般男性公務員の3.2倍という高率です。また、イラクに派遣されたイギリス軍9000人のうち、131名が亡くなりました。ベトナム戦争では駆り出された韓国軍5万人のうち、5千人が亡くなっています。イラクやベトナムの人びとのいのちを数十万・数百万の単位で奪い、無数の自国民を地獄に追いやったアメリカの不正義きわまりない戦争によってです。

 今後、憲法が大改造されれば、アメリカが起こす戦争に日本の自衛軍や民間企業従業員が実戦部隊・補完要員として駆り出され、1万人あたり百人殺され、十数人が自死に追い込まれる事態になることは目に見えています。国民から一層搾り取って軍事につぎ込み、軍隊志願者となるワーキングプアの輩出・軍国教育・避難訓練など、人を殺すことに抵抗感乏しい人造りが進行。その結果、日常国民の中でも自殺者が一層増え、アメリカのように凶悪犯罪も著しく増えるでしょう。これで本当によいのでしょうか。

 安倍首相は、自民党総裁の任期=最長6年のうちに憲法を大改造する、そのために今年7月の参院選で憲法改造問題を争点とする、かつ、いつでも憲法改造国民投票ができるように、今年5月3日の憲法施行60年記念日までに、改憲手続き法=国民投票法を成立させると大号令をかけました。歴代首相のなかで初めてのことで、まさに「本領発揮」です。

 今国会にかかっている改憲手続き法案の中身で最大の問題は、改憲を公言している財界・大資産家が湯水のようにお金を使い、5億円単位のCM、テレビ・映像を買い占めて憲法大改造の方向に、国民投票を大々的に誘導しねじ曲げることができることです。イタリアではこれを憂慮して、憲法改正国民投票の際、全国規模の有料広告が禁止されていますし、日本の通常の選挙でも異常なほど「不公正」を禁止しているというのに、ひどいものです。このほかにも、どんなに低い投票率でも改憲が実現してしまう点など、この法案は国民主権憲法に著しく反するものです。

 重大なことは、安倍首相が、この法案を成立させる日程をなんとしても確保するために数十年ぶりという予算案強行採決まで行い、さらにこの法案の単独採決まで公言していることです。民主党も徹底抗戦の姿勢とは到底言えません。あの戦争で内外数億人の人生を破壊した「血の代償」=「戦時・平時を問わず、いのちを全うする権利」を定める日本国憲法。これを60年間2世代にわたって守りぬく中で培われた、戦争に繋がるものを一切否定し、かつ驚くほど凶悪犯罪が減少している風土。これらを一層輝かせるため、改憲手続き法案を必ず廃案にさせましょう。  弁護士 毛 利 正 道



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