「ねじれ国会」のおもしろさと危うさ
昨年7月選挙の結果、参議院は民主党が第一党となり野党が過半数を占めた。対する衆議院は、自民党が300を超える議席を持ち、与党だけで3分の2を超える。これをマスコミは「ねじれ国会」とよぶ。
国会には、おもしろい状況が生まれてきている。①改憲を掲げて登場した安倍総理が、いきづまって政権を投げ出した。②テロ特措法が失効し、インド洋上で米軍艦船などに給油を続けてきた海上自衛隊が「心ならずも」撤収した。③審議会など各種委員の国会同意人事について、参議院が異議を出し、政官癒着のシステムに待ったをかけた。これらは、私の衆議院在職中にはなかった、前向きのおおきな変化だ。
ところが他方で「ねじれ国会」は、危うさもはらんでいる。民主党の小沢党首と自民党の福田総裁が、渡辺恒雄読売新聞社長などの仲介で接触し、「大連立」の合意寸前までいった。民主党内や国民の怒りの声に押されて「大連立」の動きは頓挫したが、火種は消えてはいない。「大連立」ができれば、改憲や消費税大増税などが一挙に強行されるおそれもある。
混沌とした政治の状況のなかで、国民の生活はかつてなくきびしくなっている。今年は、解散総選挙も予想される。危うい状況をのり越えて、暮らしの問題でも平和の問題でも、将来に希望が持てる状況を創り出すチャンスとしたい。
弁護士 木嶋日出夫
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