事務所ニュースしらかば

しらかば 第111

≪巻頭言≫
≪プリンスホテルの会場使用拒否を許さない≫
≪「伊那市住民訴訟」はじまる≫
≪毛利栄子の ~県政さわやか報告~≫

 

≪巻頭言≫

 現役世代は、非正規雇用が3人に1人の割合になり、その平均年収が150万円以下という異常さです。年間3万人を超す自殺者。岡谷市のある企業でも、昨年1年間に4人の中間管理職の人が自殺したといいます。
 4月から「後期高齢者医療制度」が実施されます。「後期高齢者」とは75歳以上の人のことですが、1300万人が対象になります。
 現在加入している国保や健保(被扶養者も含む)を脱退させられ、すべての後期高齢者が、一人ひとり保険料の負担を求められ、ほとんどの人が、年金から「天引き」されます。
 自民・公明の与党は、昨年の参院選の大敗を受けて、あわてて保険料の一部「凍結」を言っています。しかし、「凍結」されるのは、今「扶養家族」として被用者保険に加入している人の保険料徴収だけで、「後期高齢者」の大半を占める国保加入者(約1000万人)などの保険料は予定通り4月から徴収されます。
 国保加入者でありながら「自分の保険料は『凍結』される」と思っている人もすくなくありません。
 現役世代も高齢者も怒りの声を上げましょう。

 

≪プリンスホテルの会場使用拒否を許さない≫

 東京の「グランドプリンスホテル新高輪」が、日教組教育研究集会での会場と客室の使用を拒否したことが大問題となっています。ホテル側が昨年11月になって急に契約を解約。高等裁判所の「契約どおり使用させよ」との仮処分決定にもかかわらず、ホテルはこれを無視して使用拒否を貫き、教育研究集会全体集会が史上初めて開催できなくなったのです。

「契約にも裁判所にも従わない」
ホテルは、右翼の街宣車で多数の受験生に迷惑を及ぼさないためと弁解していますが、そのような事態にならないためにこそ公安条例や暴騒音防止条例があるのです。問題は、全国に62の大規模ホテルを持つ大企業である「(株)プリンスホテル」が、今回のように契約にも裁判所にも従わないと公言してこれを貫いたとあっては、全国で多数開催されている各種集会も、右翼の脅し一言でこれを真似られて開催できなくなる事態が起こりうるということなのです。しかも、どんなことでも「裁判所の命令を守らない」という恐ろしい国になりかねません。

プリンスホテルに交渉に向かう毛利弁護士

 大切な「民衆が繋がる権利」
ぶるっときた私は、直ちに、ホテルに対する署名行動をネットで呼びかけ集まった署名をホテルに持参したところ、TBSの「ニュース23」で報道され各地から「見たよ」との声が届きました。「新婚旅行で泊まり好感を持っていたが、今回のように成約したお客を無視するようではもう利用したくない」など、怒りと落胆から不泊運動まで呼び掛ける一言がとても多いです。5回目に502名分の署名を持参した3月24日は、初めて交渉の場を持つことができました。この件を決して前例にさせないために頑張ります。

(弁護士 毛 利 正 道) (しらかば 2008.4)




≪「伊那市住民訴訟」はじまる≫

 伊那市民126名が小坂樫男市長を被告として起こした住民訴訟が、この3月、長野地裁ではじまりました。この裁判は、伊那市土地開発公社の契約方法の違法性を明らかにしつつ、このような違法な行為を長年にわたり許してきた伊那市長の責任を問うというものです。
 公社がおこなってきた契約方法とは、「見積入札」と称し、見積書を出させた複数の業者の中から、入札者の立合をおかず職員だけで開札するという前代未聞の契約方法で、官製談合の温床ともなる極めて不透明なものでした。これにより、平成13年度から18年度までの5年間(15年度はなし)において、契約額が1000万円以上となった大口3件のうち、全てをR社が落札し、契約額500万円以上の3件のうち2件についても継続業務を理由にR社が請負という偏った結果が生じました(ちなみに平成14年度と17年度は全ての契約をR社が受注し、この5年間全体では契約額の73%をR社が占めました)。しかもR社が落札した平成17年度契約額1000万円以上の2件とも落札率が97.9%という高率であることも分かってきました。
 これに対し、市側は、公社には地方自治法の適用がない(したがって契約方法に制限はない)から見積入札であっても法的には問題がない等として全面対決の姿勢をとっています。たしかに、公社は市とは別法人ですが、市の全額出資で設立され、市長が理事長を務め、市職員が公社職員として派遣され、市庁舎の一部を事務所として無償貸与を受け、市が本来なすべき業務の一部を請負ために設けられた公的な組織です。このような性格を持つ公社は、地方公共団体同様に地方自治法等の法令に従って公正に運営されなければなりません。
 市側の開き直った態度は市民の疑念を深めるばかりです。公正な入札を実現する伊那市民の会ではみなさんからの物心両面のご支援を呼びかけています。

 (しらかば 2008.4)


≪毛利栄子の ~県政さわやか報告~≫

 議会で委員会審査が行われていた3月12日、昼休み時間を利用してほぼ全議員が加入する超党派の「地域医療対策議員連盟」が開催され、大西長野県医師会長以下役員の方がお見えになり、医師会と県病院協議会が共同で行った「医師確保に関する調査&勤務医に関する意識調査」の調査結果を示し、医療関係者の抱える諸問題について報告していただきました。冒頭の挨拶の中で、大西氏は立花隆氏の講演を引用しながら「道路特定財源などにお金をつぎ込んで医療にお金をかけてこなかったことが今日の状況を作りだしている。かつて医療亡国論といわれたが、今はまさに土建国家亡国論だ。もっと医療にお金を!」と挨拶され、びっくりしました。参加者の中には県内最大手の建設会社の顧問を務められているI議員や建設・材木関係の会社を経営している議員が何人もいたのですから。
 医師会は今まで自民党のもっとも協力な支持基盤であったこともあり、あのような席で正面から国政批判したことにも驚きました。医療崩壊があちらこちらで大問題になってくるなか、情勢はさまざまなところで大きく動き出しています。おりしも岡谷市医師会が年4回出している機関誌があり、「湖水端医療談義」の4月号の原稿を4000字以内で書いてほしいと私に依頼があり、拙文を書かせていただきました。
格差と貧困の広がりの中で、医療や暮らし、営業を守るために今まで以上に皆さんと大きく手をつないでいく可能性が広がっています。厳しいながらも面白い情勢になってきました。


信州しらかば法律事務所

HOMEご相談について弁護士費用について事務所のご紹介業務内容取り扱い事件役立つ法律情報署名のコーナーリンク集これまでの事務所ニュース

Copyright (c) 2009 shinshu shirakaba Law firm. All Rights Reserved.