還暦と自民党崩落
-今日は、財界とアメリカのために造られた自民党が、国民の手で半世紀ぶりに第1党から引きずり下ろされる歴史的な日になることでしょう。「国民が主権者」の国に向かう大きな前進です。-
投票が続いていた8月30日午後、私は北九州戦争展での講演で、こう切り出しました。6歳のとき自民党ができましたから、私にとっては、物心ついてから54年間ずーっと自民党が国を動かしてきた、その牙城が崩落したのです。
「国民が引きずり下ろした」と言った理由は二つ。ひとつは、再三の世論調査での「なんとしても自民党を落とす」という微動だにしない国民の強固な意志です。
でもなんといっても、国民の闘いがここまで政権を追いつめたのだとの思いが決定的でした。年越派遣村を民衆の闘いで支えることができたために、正月じゅうその惨状が放映され、ひとを人間扱いしない政権を国民が見限る契機になりました。後期高齢者医療制度も、「年寄りは早死にせよということか」と高齢者が「反旗を翻して」立ち上がり、政府を追い込みました。改正草案や国民投票法を造って憲法改造を狙った自民党にたいし、広範な国民が全国七千を超える「9条の会」を結成して闘い、安倍政権を退陣に追い込みました。私も原告になって、影響力があるイラク派兵高裁違憲判決を勝ち取りました。
民主党政権では、長野県で田中知事に代わって主婦が新聞を読むようになったと同じように、国民の目が政治をより注視することになるでしょう。「財界とアメリカ、彼らと私たちとの綱引きで私たちのいのちと暮らしが決まる」、この本質は従来といささかの違いもありません。民主党に頼ったらより悪くもなります。これまで以上に政府を国民の切実な声でえっさ、えっさと包み揺り動かしていくことです。私は、この8月に生まれ変わりました。2回目の20才の年にどんな社会にできるか、楽しみです。
毛 利 正 道 (弁護士) |