事務所ニュースしらかば

しらかば 第119

≪巻頭言≫
≪コラム(握手)≫
≪税金裁判で多額の課税処分取消確定≫
≪司法修習生の給費制維持に向けて≫
≪貸金業法が改正されました!≫
≪浅川ダム住民訴訟始まる≫
≪もうり栄子の県政さわやか報告≫

 

≪巻頭言≫

 当事務所に入所して2年が経過しました。どんな仕事も一人前になるには10年かかると言われておりますので、たゆまず精進していこうと思っております。
しかし、他方で私は、早くも仕事を引退したら何をしたいか、ということを考え始めております。ぼんやりと思っているだけですが、森林公園の管理人というのはいいなと思います。仕事としてではなくても、ボランティアで植林をするとか、とにかく樹木と関わることをしたいと思います。
なぜこんなことを考えるかといいますと、9月になっても暑い日が続いており、温暖化の影響に胸を痛めているからです。樹木があると、CO2を吸収してくれる外に(もっとも、樹木は、ある程度の年数が経つと、光合成によるCO2吸収量と呼吸によるCO2排出量とがあまり変わらなくなり、また、枯死したり燃やされたりすれば吸収したCO2を大気中に排出してしまうそうです。よって、樹木による吸収作用のみではCO2削減にあまり効果はないと考えられますので、間伐材を大いに活用することにより、化石燃料の使用を抑えることで、CO2削減に取り組むべきです)、蒸散により気温を下げる効果があります。
そのため、私はとにかく樹木を植えたいと願っております。私の住居はアパートなので樹木を植えることができません。実家の庭も、これ以上植える場所がありません。クーラーを使用する場合と違って電気代はかかりませんし、自律神経を不調にさせる恐れもありませんので、皆さんも樹木を利用して涼むという方法をご検討ください。  以上 (蒲生記)

 

≪コラム(握手)≫

 ニッコウキスゲが、シカの食害にあっている。今年はどうだろうかと思い、7月初旬に車山肩に行ってみた。今年の被害は、今までの花芽だけだったものと違い、新芽そのものが葉ごと食まれていた。これで花が咲くだろうかと心配になった▼8月初旬、咲き具合を確認するために再び肩に行った。最盛期は過ぎていてもいくらかは咲いているだろうと思っていたが一本も見ることが出来なかった▼草原植生の変化が影響しているとの見方もあるが、シカの食害が要因になっていることは明らかである▼最近、要所に防鹿柵や防護ネットが設置された。しかし、これで、個体数の増えているシカに対抗できるだろうか。霧ケ峰高原の森林化や3湿原の乾燥化も進行しており、自然環境の変化に関係者を悩ませている▼夏の風物詩であるニッコウキスゲが蘇るよう早く対策を講じてほしいものである▼猛暑だというのに、秋を告げるマツムシソウが咲いていたのが印象的だった。(T)

 

≪税金裁判で多額の課税処分取消確定≫

帳簿無断持ち去り事件で、税務署に反省迫る

社長に無断で47冊も
ことは、6年前の2004年10月の税務調査から始まりました。多くのホステスを抱える飲食業者の事業所に税務署員10数名が突然来訪して調査を始め、3日目になって、社長がはっきりとした承諾を与えていないのに、47冊という大量の帳簿を持ち去ってしまったのです。おまけに、社長が、税理士とともに違法行為だから返還するように求めても2か月間も返還せず、その間に無断で大量にコピーしてしまったのです。税務調査は納税者の承諾の下に行うという大原則を大きく逸脱するものでしたので、これが違法だとして国家賠償請求訴訟を起こしましたが、社長は不在でも調査に同席していた社員が同意していたなどの理由で残念ながら敗れました。

 

チップの行方が争点
しかし、この裁判と並行して、持ち去った帳簿を根拠に多額の追徴処分をかけられていたこと自体についても、果敢に課税処分取消請求訴訟を提起・遂行。こちらは、地裁・高裁の判決を経て、納税者の勝訴が確定しました。
この裁判では、お客からもらったチップをホステスに全額渡していたのか、それとも使用者がその一部を所得として得ていたのかが、中心的に争われました。税務署側は、税務調査時に使われていた「チップ配分表」(そこでは、一部が使用者の手元に残る計算になる)が調査時だけでなく、5年前から使われていたと主張。しかし、裁判のなかで膨大な領収書類を精査していくうちに、後年になって計算方式がほんの少し変化していることを発見。それからみて、「チップ配分表」が、その変化した時点以前から使われていたことはあり得ないとの立証に成功。これをテコにいろいろな角度から切り込んで勝訴したものです。

 

初めて完璧に勝てた
私はこれまで税金裁判を多く担当していて勝訴したこともありましたが、今回のように訴訟の中心的争点でほぼ完璧に勝てたのは初めてです。本来なら税務署が帳簿を前にして社長からよく説明を受けていればそれで解決しているはずです。それを、帳簿を無断で持ち去り社長からよく説明を受けないまま追徴処分をしたために税務署が裁判に敗れてしまったことになります。結局、税務調査は明確な承諾の下に行うべきとする大原則を宣言した判決と受け取っています。社長さんは、これで溜飲を下げることができました。

毛 利 正 道 (弁護士)

 

≪司法修習生の給費制維持に向けて≫

1、最近、ようやく新聞やテレビで取り上げられるようになってきましたが、しらかば読者の皆さんにとっては、必ずしも知られていないと思いますので、改めてご説明します。


2、司法修習生というのは、司法試験に合格した後、一年間、弁護士・裁判官・検察官の実務を研修する者のことです。言ってみれば、法律家の卵ということになります。この一年間は修習に専念する義務があり、アルバイト等は禁止になっています。収入を得られないことから、月約20万円の給与が支払われています。


3、ところが、この11月から、給与の支払いが無くなり、その代わり、お金を貸し付ける制度になる予定です。これは、平成16年に裁判所法という法律が改正されて出来た制度です。
当時も、とんでもないことだと反対したのですが、小泉政権の時代だったものですから、改正を阻止することは出来ず、また、マスコミの理解も得られず、6年間施行を延長させることがせいぜいでした。


4、しかし、平成16年の法改正後、ロースクール制度が動き出しました。それまでは、大学の教養課程を終えた者は誰でも司法試験を受けることが出来ましたが、大学卒業後さらにロースクール(2年または3年)も卒業しなければ、試験が受けられないことになってしまいました。
今の時代、大学を卒業するのにも大変なお金がかかるのに、さらにロースクールまで卒業するとなると、普通の家庭の子供は、試験を受けること自体、とても難しくなっています。その上、試験に合格した後の修習中の給与が無くなるとなると、ますます経済的負担がのしかかることになります。
昨年、日本弁護士連合会が司法修習生に対しアンケートを実施したところ、平均で約320万円、最高では約1200万円もの借金を背負っているという実態が判明しました。その上、給費制が無くなると一年間の生活費を捻出しなければなりませんので、更に300万円程の借金が増えることになってしまいます。大変なことです。


5、このようにお金がかかるとなると、お金持ちしか法律家になれないことになってしまいます。普通の市民の感覚を持っていない者が、国民の権利を守るような弁護士・裁判官・検察官になれるとは思えません。
現在、弁護士会は、給費制維持を求めて、署名活動、国会議員要請等、様々な活動を行っています。8月31日には、長野市で市民集会を開き、200人以上の方々に参加して頂き、この問題の重要性を訴えました。
日本では、一度できた法律を変えることはなかなか難しいのですが、11月に予定されている給費制廃止を阻止すべく頑張っているところですので、読者の皆さんにも、是非ご理解ご協力いただきたいと思っています。

相 馬 弘 昭(弁護士)


 

≪貸金業法が改正されました!≫

 2006年に、貸金業法などの大改正がありましたが、その内容の最も主要な部分が、ようやく今年の6月18日に施行になりました。
今回の改正は、多重債務問題を生み出す原因(高金利、過剰融資)を解消するための第一歩と考えられます。改正のポイントは大きく2つになります。
《貸付金利の上限の引き下げ》
 利息制限法では、年15%~20%を金利の上限と定め、それを超えると無効としています。しかし、これまでは、出資法で、年29.2%以下の利息であれば、刑事罰を課されなかったため、貸金業者は、29.2%ぎりぎりの高金利で貸付をしていました。
 今回の改正で、貸金業者が利息制限法の上限金利(年15%~20%)を超える金利の契約をすることは禁止され(貸金業法)、また、年20%を超える金利の契約をすると刑事処罰されることになりました(出資法)。
 従って、今後は、利息制限法を超える金利で貸付をすることはできなくなりました。
《貸付金額の制限》
 貸付金額については、ガイドラインで一定の目安が決められていましたが、貸金業者は、貸せば貸すほど儲かるという状況でしたので、その人の返済能力等を考えずに過剰な貸付を繰り返していました。
 そこで、今回、年収の3分の1以上の貸付は禁止されることになりました。
《困った場合はご相談を》
 貸付金額が年収の3分の1に制限されることで、今後の借入ができなくなり、支払いが困難になる方も出てくるかも知れません。
しかし、そのような場合、多重債務となっている可能性もありますので、これを機会に、借金の整理をすることをお勧めします。まずは、当法律事務所にご相談下さい。

 

≪浅川ダム住民訴訟始まる≫

(浅川ダム住民訴訟とは?)
本年3月19日、長野県内の住民417名は、長野県知事を相手に、浅川ダム建設にかかわる公金支出の中止を求める住民訴訟を長野地方裁判所に提起しました。当事務所の弁護士をはじめ、開発問題や環境問題に関心をもつ県内の多くの弁護士が、この大型訴訟に取り組んでいます。
浅川は、北信濃・飯縄山に源をもち、長野市北部を流れ下って、千曲川に合流する一級河川です。長野県は、40年も前から、浅川下流域での洪水被害防止のためとして、浅川上流部に治水専用ダムを作る計画を立ててきましたが、2000年11月、「脱ダム宣言」の田中康夫知事よって、一旦は中止となったのです。
しかし、村井仁知事によって「穴あきダム」として復活し、本年3月、54億6千万円という異常な低価格でダム本体工事が落札され、着工されました。併せて行う地すべり対策工事に、30億円もかかると言われています。
(裁判では、何が争われるのか?)
 裁判では、主に2つの大問題が争点になります。第1は、ダムの危険性です。ダム建設予定地は、地すべり危険地域のただ中に位置しています。ダムサイトの地質は極めて脆い裾花凝灰岩です。断層もあります。かつての善光寺地震の震源地も近くです。こんな場所にダムを作ったら、洪水防止どころか、逆に、大災害を引き起こしかねないではないかという問題です。
第2は、ダムの治水効果の問題です。浅川下流域でたびたび発生した洪水被害は、豪雨時に、浅川より千曲川の水位が高くなり、浅川流域の降雨を千曲川が飲み込めないことによって発生するのです。この根本問題の解決に、浅川ダムはまったく役立ちません。また「暴れる天井川」と言われた浅川も、河床の拡幅・改修工事によって、堤防決壊のおそれは解消されてきています。浅川ダムを作る必要性が無いではないかという問題です。
(建設中止のために、何が大切か?)
 8月の県知事選で、阿部守一新知事が誕生しました。新知事の浅川ダム建設に対する態度は、あいまいです。県民の多数意見が、建設をいったん中止して再検討すべきとしている点に対しても、現時点で建設中止のつもりはないという態度です。県議会多数派は、浅川ダム建設促進派で占められています。
危険でムダな浅川ダムを中止させるために今大事なことは、住民訴訟で浅川ダムの危険性・不要性を浮き彫りにして、建設中止の世論を大きくすること、そして来年4月の県会議員選挙で県議会の力関係を変えることです。

      木 嶋 日 出 夫(弁護士)


 

≪もうり栄子の県政さわやか報告≫

みんな違ってみんないい 県議団の県政報告会

県議会議員 もうり栄子

 「鈴と小鳥とそれからわたし みんなちがってみんないい」は夭折した詩人、金子みすずの詩の一節ですが、長野、松本、上田、塩尻、佐久、箕輪、下諏訪と県内各地に出向かせていただいて個性あふれる県議団7人による県政報告会をやらせていただいています。
 「7人が壇上に並ぶと壮観だ」「みんなで協力しながら県政改革を行ってきたことがよくわかった」「このような報告会をたびたびやってほしい」など好意的な感想が寄せられています。下諏訪で実施した時には、終わって参加者の皆さんにお礼をさせていただきながら送り出しをしていると、じっと待っている高齢の紳士がいます。
 終わると話しかけてきて「もうりさんは聞けわだつみの声を読んで衝撃を受け、共産党に入ったというがどんな衝撃なのか」と聞いてきます。一瞬、なんと答えたらいいかと迷いましたが、思いを語ると「今日は少数者のなかに正義のあることがよくわかった。これからは心して少数者のためにがんばりたい」と言ってくれるではありませんか!こんなときは忙しい思いをして県下あちこち飛び回っていても苦労も吹き飛びます。
 党県議団はこの間2人から5人、5人から6人、6人から7人と伸ばせていただいて今は代表質問もできるし議会運営委員会のメンバーに入ることもできるようになり、常任委員会の委員長ポストももらえ、影響力を大きく持てるようになりました。政務調査費を使っての飲食の禁止など議会改革や県民要求の実現もつぎつぎ進めてきました。来春はまた選挙。2人区で勝ち抜くことは至難の技ですが県民の皆さんの利益を守って、全力でがんばります。「しらかば」読者のみなさんの大きなご支援をよろしくお願いいたします。


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