浜岡原発廃炉をめざして!
-浜岡原発運転終了・廃止等請求訴訟 原告弁護団に参加して-
弁護士 蒲生路子
私は、本年8月から浜岡原発運転終了・廃止等請求訴訟の原告弁護団に参加しております。浜岡原発の危険性のごく一部を記載いたします。
中部電力は、福島第一原発での津波遡上高がT.P.(東京湾平均海面)+15m程度であったこと等を考慮して、津波対策として、浜岡原発の敷地の海側にT.P.(東京湾平均海面)+18mの防波壁を設置すると発表しました。
しかし、防波堤に衝突した津波は1.5倍まで津波高を増すことが判明しており、このことを考慮しただけでも、15mの津波を想定すれば防波堤の高さはその1.5倍の22.5mを必要とします(津波高を増す要素は外にも複数あり、22.5mでは足りない事態も充分考えられます)。また、津波の水圧は、津波の高さが50cmの場合、防波堤の幅1mに対して1.125tとされており、津波の高さの2乗に比例して増大するとされていますので、15mの津波高の場合、30×30=900倍の水圧となり、防波堤の幅1m当たり1000tの水圧がかかることとなります。
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浜岡原発廃炉を求め、5000人が
集まった「7.23ひまわり集会」 |
従って、浜岡原発の場合、背後に山を抱く北面以外の西、南、東面を約2.5kmにわたって、高さ22.5m以上、1m当たり1000tもの水圧に耐える防波堤を築く必要がありますが、浜岡原発の敷地の一部は、元は河川ないし河川敷であったため地盤の液状化の危険があり、大規模地震発生時に耐えられる防波堤を建設することは実質的に不可能です。
また、浜岡原発は、背後の山と高さ8~15mの土手・砂丘に囲まれておりますので(一見津波に有利な地形に思えますが、この土手・砂丘は、想定される津波に容易に乗り越えられるものです)、津波が乗り越えた場合、一旦流入した海水は、土手等に囲われて原発敷地内に貯留することになります。となると、電気設備は水没し、機能は全て失われます。また、原子炉建屋及びその内部の格納容器や炉心に近づくことができなくなります(当然、非常用発電機車両も近づけません)。さらに、原発は基礎が直接岩盤に接していることが要求されているため、浜岡原発の原子炉建屋は半地下のような構造となっており、3号機の原子炉格納容器、圧力容器の最下部は地下15mもの深さとなっています。従って、仮に15mの防波堤を設置し、これを津波が乗り越えた場合、原子炉格納容器は24m以上にわたって水没することとなるのです(中部電力は、防水扉を作るといいますが、地震で建屋が変形する等すれば、完全な防水など不可能です)。
原告弁護団に参加して上記の事実を初めて知り、改めて浜岡原発は必ず廃炉にしなくてはならないと固く決意しました。多くの方に関心を持って頂きたいです。 |