事務所ニュースしらかば

しらかば 第78号

≪あいさつ≫解散・総選挙で景気回復を
≪コラム≫
≪成年後見制度の改正≫
≪定期借家法の導入と問題点≫
≪国会報告≫

 

≪あいさつ≫ 解散・総選挙で景気回復を

春暖の候とはいえ、経済の冷え込みが気になるところです。
 先月、経済企画庁が発表した国内総生産(GDP)の成長率は、小渕内閣が、実質プラス0.6%としていたにもかかわらず、実質で前期に比べ1.4%減、年率換算で5.5%減と二期連続マイナス成長になりました。アメリカの基準からすれば「景気後退」と判定される深刻な事態です。GDPの約60%を占める個人消費の伸び率が1.6%減となっており、その落ち込みが原因といわれています。景気を回復するためには、国民の暮らしや社会保障に思い切って予算を回すことが必要です。しかし、小渕・自自公政権は、「景気回復最優先」を口実にして、大手ゼネコンや大企業・大銀行へのばらまきを続けてきました。これでは景気はよくなりません。国会では、「景気は気から、花咲かじいさんのように景気の気をふりまいてほしい」(参院自民党幹事長)、との注文に、堺屋長官は、「9月ごろからは本格的に回復基調となって、2001年度には新たな成長の時代に・・・」と応じ、無責任な発言がされています。今年は総選挙の年です。選挙の時期について、桜、牡丹、向日葵、菊等取りざたされていますが、解散・総選挙で一日も早く政治を転換し、景気の回復を図りたいものです。
 今度は、「木島」を小選挙区から、と所員一同燃えていますのでよろしくお願いします。

 

≪コラム≫

いよいよ介護保険がスタートしました。介護保険は、保険料を払って、将来介護が必要になったときにサービスを受けられます。しかし、今の制度では、利用するときにも一割の負担-利用料-がかかります。そのため、サービスを受ける段階になって、必要な介護を受けるためには「利用料」の心配をしなければいけません。特に、介護保険は高齢者の方ほど必要性が高いのですが、高齢者の方ほど収入の少ない方が多いはずです。利用料の負担が重くのしかかってきます。それでも、政府は「利用料の減免制度はつくらない」と言っています。「お金が無ければ、制度は利用させない。」という政府の姿勢がはっきり現れています。「介護保険」も社会保障の一環であるはずです。収入が少なくて利用料が負担できない方には、利用料の減額や免除をすべきです。このままでは、国が国民をいじめる制度になってしまいます。既に減免制度を独自に取り組んでいる自治体もあります。安心して利用できる「介護保険」を求めて、国民の声を政府に届ける運動が今後も必要ではないでしょうか。

 

≪成年後見制度の改正≫

 従前民法では、精神上の障害により判断能力の不充分な成年者(痴呆性高齢者・知的障害者・精神障害者)を保護する制度としては、禁治産、準禁治産の制度として、後見人・補佐人を付する制度がありました。この制度は民法施行後100年を経過しているが一度も改正されずにきました。  現在および将来の高齢者の増加、自己決定権やノーマライゼーションの理念の原理、老人福祉の充実などの要請から今回の改正がなされたといわれています。  今回の民法の改正は、成年の保護制度について、法定後見制度として、三類型を定め、さらに任意後見制度を設定した。公示方法として今までの戸籍に記載する方法をやめ法務局に登記する方法にしたものです。 法定後見制度(後見・補佐・補助)  新法では、従前の禁治産、準禁治産制度を「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある者」を①後見の制度、その能力が「著しく不充分」な者を対象とする②補佐の制度に改めると共に、この能力が「不充分な者」(後見及び補佐に至らない軽度の状態にある者)に対する保護類型として③「補助」の制度を新設しました。  以上、三類型は、申立により家庭裁判所の後見開始・補佐開始・補助開始の審判とともに、それぞれ本人のために(それぞれ本人を成年被後見人・被補佐人・被補助人という)、成年後見人補佐人・補助人(以下三類型を言う場合には後見人等という)が付されます。また必要があれば家庭裁判所は、後見監督人、補佐監督人、補助監督人を選任し監督をさせることができることになっています。  成年後見人は、広範な代理権と成年被後見人のした行為の取消権があります。但し、日用品の購入や日常の生活に関する行為は取り消せません。補佐人は、被補佐人がした重要な行為(法定されている)について同意権を有し、同意なくした行為を取り消すことができます。但し日常生活に関する行為は取り消せません。  補助人は、申立による家庭裁判所の選択した特定の法律行為に代理権や同意権の一方または双方を付与され、被補助人が同意なくしてした行為を取消せます。補助開始の審判は、本人以外の者が申立をする場合には、本人の同意を要します。  後見開始等の審判の申立は市長村長にも認められました。後見人等は複数の選任が可能となり、また、法人も後見人等に選任されることになりました。配偶者の、必須的に後見人等に選任することは廃止され、広く適任者を選任できることになりました。 任意後見契約の制度  老齢等による将来の精神能力の低下に備えて、充分な判断能力を有する間に、予め、能力が低下した場合に、自分の生活療養看護及び財産の管理に関することの全部あるいは-部について委託し代理権を付与する委任契約で、家庭裁判所が、本人の能力が低下したと判断して、後見監督人を選任したときからその効力が発生する制度です。改正前の民法でも、自己の将来の能力低下に備え、財産管理等の保護を受けるため委任契約をし代理権を授与する事は可能ですが、代理人が本人の意向を確認しながら代理権を行使することが困難であり、本人や家族とのトラブルが生じやすい等から二股には余り行われてきませんでした。  この任意後見制度は、本人保護の次善的な方法として、私的自治の観点の尊重から、本人が自ら締結した代理権授与を内容とする委任契約に関して、必要最低限の公的関与(家庭裁判所による後見監督人の選任による監督)を法制化し、自己決定の尊重の理念に則したものです。  この任意後見契約は、公正証書によってなされなければなりません。これは、本人の意思による適法かつ有効な契約が締結されることを担保し、契約内容を明確化し紛争の予防に資するためだからです。

 

≪定期借家法の導入と問題点≫

1999年の12月、借地借家法の一部を改正し、「定期建物賃貸借」(定期借家)という借家契約の新しい類型を制度化する法律(良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法)が、自自公三党と民主党の賛成により参議院で可決成立し、翌年3月2日より施行されることになりました。この法律の問題点について、みることにしましょう。

 改正前は、賃貸借期限が到来しても賃貸人に契約更新を拒絶する正当な事由がない限り、更新されるということがごく当たり前に行われて来ました。ところが、今回の「定期借家」では、正当事由がなくとも更新がなされず、約定期間の満了によって契約は当然に終了となります。このため、借り手側の居住の安定は期待できないこととなり、契約期間が満了したときに、そこで引続き住めるかどうかは家主の意向次第となるのです。

 また、200平方メートル未満の居住用建物の借家人について「転勤、療養、親族の介護、その他やむを得ない事情」がある場合には、貸借人は契約の中途解約が認められますが、そうでない場合は解約できず、賃料支払義務が存続することになります。

 このように、定期借家は、借り手側にとって多くの問題を含んだ法律であるため、11項目にもわたる付則がつけられました。たとえば、既存の居住用の借家契約の更新に際しては、定期借家への切り替えは「当分の間」(ほぼ4年間)認めないとしています。
 いずれにせよ、定期借家契約の仕組みを良く理解して対応することが重要です。

(しらかば 2000.4)

 

≪国会報告≫

3月21日朝日新聞朝刊は、衝撃的な記事を載せた。「衆院議員500人の通知表」と題して、前回総選挙から今年2月までの全議員の議員立法発議数と発言回数を発表したのだ。
 議員立法の発議ランキングでは、私が40件でトップ。二位の松本善明議員の35件とともに「発議群抜く共産コンビ」との見出し。
 発言した会議数ランキングでは、私は126回で第三位だった。「市民の声代弁の追求派」という見出しの発言会議数では、共産・社民両党の議員が四人ずつ上位に並ぶ。
 「国会活動にもっと目を」と解説にあったが、こういう側面に光をあててもらい大変うれしい。あらためて、この3年半を振り返ってみて、我ながらよくやったと思う。
 国会では、多くの皆さんから「朝日新聞の記事見ましたよ。すごいね」と声をかけられる。
 ところが一転、法務委員会の理事会では、主に与党の議員から「あんな形で議員活動を評価されてはたまらない」と不満がふきだす。半分やっかみ、半分本音か。
 国会は、自自公小渕政権の数の横暴のもと、衆議院比例定数20削減に続いて、ばらまきと財政破局の来年度予算が、総理の欠席の続くなか史上最速で成立。
 その一方で、総理のNTTドコモ株疑惑、新潟県警や白川元国家公安委員長秘書の交通違反揉み消し疑惑など一連の警察不祥事、越智金融再生委員長の暴言問題、臼井法務大臣秘書の脱税グループ関与問題などなど、政権末期的な腐敗事件が吹き出している。
 もう、解散・総選挙で国民の審判を仰ぎ、出直すしかない。
信州しらかば法律事務所

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