昨年、司法制度改革の問題が急速に進展しました。本来、陪審制・参審制(国民の司法への参加)なども含めて幅の広い問題なのですが、最近の中心課題は、法曹人口の増加の問題でした。かなり前から、日本の法曹人口(弁護士・裁判官・検察官の数)は少なく、利用者の要求に答えていないという問題は言われて来ました。ところが、ここに来て、毎年三〇〇〇人のペースで法曹資格者を増やすという提案がなされ、予想以上のスピードで議論され、基本的にはその方向での合意が成立しました。
確かに、弁護士・裁判官・検察官が増えれば、相談の窓口が広がり気軽に法律事務所を利用できることになるし、民事・刑事の裁判がもっと迅速に進められることになります。そのような意味では、増員は間違いなく良いことです。当法律事務所のように地方にある事務所にも、続々と新しい弁護士が来てくれるのではないかという期待も出てきます。
しかし、試験を受けるための資格をどうするか、試験に合格した者の教育をどうするか、裁判官について今まで通りキャリア制で良いのか、裁判官・検察官をどの程度増員するかなど、検討課題は山積みです。いずれにしても、数が増えたからといって、質の悪いサービスの提供しか出来ないのでは、意味がありません。
このような問題もあり、法律事務所としても、二一世紀の初めは流動的に時期になると思います。しかし、当法律事務所の姿勢が変わるということはありません。今までどおり、国民の人権を擁護し、社会的に弱い者の味方という姿勢は今後とも変わりません。 |