しらかば 第88号
≪あいさつ≫司法制度改革の現状 |
≪コラム(握手)≫ |
≪70名のアイフル裁判、勝利和解≫ |
≪国会報告≫暑い夏のたたかい |
≪加害者がもたらした「戦争の爪あと」 中国人強制連行・強制労働事件「原告の証言を聞く会」≫ |
~中国人強制連行・強制労働事件「原告の証言を聞く会」 戦時中長野県に強制的に連行され過酷な労働を強いられた中国人7名が国と企業に損害賠償などを求めた「中国人強制連行・強制労働事件」の原告である張福 才さん・蒼欣書さんの二人が、法廷で証言をするため来日しました。裁判終了後には県内各地で「証言を聞く会」が開催され、ここ岡谷市でも2001年2月9 日に行われました。原 告から直接証言を聞けるということもあって、当日は予想をはるかに超えた約120名もの参加がありました。通訳を介しての証言のため多少のたどたどしさは あったものの、張さん蒼さん二人は表情を交えながら何とか伝わるように証言をしていました。「紙切れのような作業着1枚だけで、暖房もない状況下で真冬の 木曽を過ごした」「食事も満足に与えられず、けがや病気もまともに治療してもらえないまま、ただひたすら働き続けた」「けがの後遺症によって終戦後も満足 に働けず、家族まで貧乏になった」など、人生そのものを破たんさせた、この強制労働の、戦争の、あまりにも非人間的で、愚弄な行為が、証言の随所に散りば められていました。 (2001.4 しらかばより) |
≪-日本の夜明けは信州から- 田中知事の「脱ダム」宣言と下諏訪ダム中止決定≫ |
格調高い「脱ダム」宣言 |
≪個人再生手続きとは≫ |
Q 個人再生法とはどんな法律ですか。 A 2000年11月に成立した「民事再生法等の一部を改正する法律」のことです。民事再生法の改正の大半は、「住宅資金貸付債権に関する特則」と「小規 模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則」という個人債務者を対象とする新たな再生手続の創設が内容となっています。この法律は、2001年4月1日 から施行されます。 Q なぜ新たな手続が必要なのでしょうか。 A 経済的破綻に陥った個人債務者が更生を図るためには、従前は、①破産免責手続と②民事再生手続でしたが、いずれも、次のような問題があると指摘されていました。 ① は、財産の清算が行われるため住宅を手放さなければならない、資格をもっていたり、取締役になっていたりすると、資格が喪失してしまう、破産者の烙印を押され、会社に勤務することが困難になる等社会的不利益が生じる。 ② は、サラリーマンや零細な個人事業者にとって手続の負担が重過ぎて事実上利用が困難である。 そこで、住宅ローン等の債務を抱えて経済的破綻を来たした債務者が、破産をせずに住宅を保持しながら生活を再建することができ、債権者としても、破産よりも多くの債権回収を図ることができる法改正が必要になりました。 また、破産件数が、平成11年には12万件を突破する等年々増加傾向にあることや自殺者数も増加(平成11年には3万3千人)している、その中でも、借金、事業不振等を動機とする自殺者が増加している深刻な社会的背景があります。 Q 主な改正点について説明して下さい。 A ① 住宅資金貸付債権に関する特則について 住宅を取得している債務者は、住宅ローン債権について、元利金及び遅延損害金の弁済を繰り延べすることができ、特別条項(弁済期間を延長する内容)を定め た再生計画が認可されれば、その効力は、抵当権、保証人にも及び、債務者は、住宅を競売されずに保持していくことが可能になります。 ② 小規模個人再生について この制度を利用できる債務者は、将来継続的な収入が見込まれ、借金(無担保再生債権)の総額が3千万円を超えないもの、となっています。 再生計画には、弁済総額を、借金の総額の5分の1又は100万円のいずれか多い額(債権総額が、100万円を下回っているときは債権総額、債権額の5分 の1が300万円を超えるときは300万円)とし、原則として3年間で弁済することが定められます。ですから、再建を目指す債務者にとっては履行可能な計 画になりますので、活用が期待されています。 ③ 給与所得者等再生について 給与所得者等再生は、小規模個人再生の利用対象者のうち、一般のサラリーマンのように、将来における収入の額を確実にかつ容易に把握することができる者 に限定されています。また、債務者の手取り収入から、債務者及びその被扶養者の最低生活費のみを控除した額(可処分所得といいます)の2年分を弁済に充て ることが再生計画の認可用件となります。 Q 任意和解、破産、個人再生手続の選択に困った時は。 A 個人再生法は、多くの方の利用が見込まれていますが、どの手続を選択するかは、債務者の個々の事情によって異なりますので、専門家である弁護士に相談することが最善と思われます。 (しらかば 2001.4) |
≪法律相談≫クレジット被害 |
相談者◇ある日友達から 電話にて、誘われるままエステサロンに行き、世間話しているうちに、実際にメイクしてみないかと言われました。支払はクレジットでいいからと言われエステ の多額のクレジットを組みました。実際に3回エステに通いましたがあまり効果もないのでやめたいのですが。 答え◇最近はエステティック、語学教室などの契約がクレジットを利用してなされる場合が増え、トラブルも増えています。 2000年の四月から割賦販売法・訪問販売法が一部改正され、一定の期間と費用を要するエステ、語学教室、学習塾、家庭教師の4種類の契約にもこの法律が 適用されます。これらの有料サービスをクレジットで契約した場合、クーリングオフの適用(契約から8日以内に契約を取り消す)はもちろん、この期間を過ぎ ても中途解約できます。この場合は既に受けたサービス分や一定の解約手数料は負担しなければなりません。 相談者◇契約を迷ってい ると、同行した友達も一緒になって熱心に勧め、このまま「嫌だ」と帰れない雰囲気でした。また、販売店の登録スタッフになれば、自分の誘った人の契約額に 応じて販売店からリベートをもらえるということで、私にも登録スタッフになることを勧め、お誘いの仕方までその場で教えました。 答え◇楽しいお店を見つ けた、一緒に行ってみようよと誘い、ちょっと試してみよう、クレジットなら支払は大丈夫などと、よく考えるひまも与えずにその場で多額な契約をさせるよう なことは、本当の友達がすることとは思えません。中にはマルチ商法にも通ずるような悪質なものもあります。普通の訪問販売でも何を売っている〇△会社で す、程度のことは明らかにした上で商売の話に入ります。いくら友達でも商売の話であるとわかっていたら一緒に行かないのに、特に経験のない若者を狙った新 手の手口です。クレジットの被害にあいながら自分も加害者になっていたなどということがないよう注意が必要です。 (しらかば 2001.4) |
≪国会報告≫参議院選挙で新しい政治を |
自民党の一部の幹部には「事実上の退陣」を表明していながら、国会では「辞めるとは言っていない」と数の力で、不信任案を否決して居直る森首相。国民を愚弄する最悪の二枚舌。 政治的には「過去の首相」が、アメリカ・ロシアへ出かけていって外交交渉をするという。世界に恥をさらすだけだ。 21世紀初頭の日本の政治は、そして経済は一体どうなってしまうのか。 KSD疑惑、機密費問題、米原潜衝突・沈没事故。史上最悪の失業と倒産。財政破綻と社会保障の改悪。経済は萎縮し、将来への展望はなかなか見えない。 しかし、歴史は、確実にすすんでいくだろう。もう自民党には政治を任せるわけには行かないという国民の声がひろがっている。自公保の悪あがきは、夏の参議院選挙で国民の厳しい審判をうけるだろう。 問題は、新しい政治の流れをどうやって現実に作っていくかだ。国会では野党共闘が確実にすすんでいる。腐敗政治の追求、無駄な公共事業の削減、軍事費はこれ以上増やさないことなどを盛り込んだ予算組換えでも一致した。 民主党からは、連立政権構想などが打ち上げられている。昨年まで「党名を変えよ」などと日本共産党に言っていたのとは大違い。 しかし、民主党は構造改革路線で、市場原理優先の立場。基本的な点で大きな違いがある。企業献金でも弱さがある。 日本共産党の前進こそが共同の中身をよりしっかりしたものとするだろう。 |