事務所ニュースしらかば

しらかば 第96号

≪事務所名称変更のご挨拶≫
≪コラム(握手)≫
≪税金裁判で、審判所に「審理記録を提出せよ」との命令出される≫
≪最近関わった保佐制度≫
≪面接採用後の就労拒否は解雇権の濫用であるとして 再就職までの賃金相当額の支払いを命じた事例≫
≪四選めざして 木島日出夫≫
≪毛利栄子の ~県政さわやか報告~≫
≪小泉内閣の三位一体改革に、もみくちゃにされながら 「ひまわり保育園」 来年4月1日開園(予定)≫
≪御柱と私≫

 

≪事務所名称変更のご挨拶≫

 8月1日から、法律事務所の名称を「林百郎法律事務所」から「信州しらかば法律事務所」に変更することになりました。
 私は、平成8年に事務所に入所しましたので、事務所の歴史については実は良く分っていません。しかしそれではマズイので今回、この文章を書くにあたって、少しだけ事務所の歴史を調べて見ました。
 1957年(昭和32年)から、「しらかば」(昭和55年から)の前身とも言える「生活と法律」という名前で事務所ニュースが発行されています。それによると、法律事務所の設立は昭和22~23年頃の様です(昭和57年に35周年祝賀会、平成9年に50周年祝賀会が開催されているので、多分間違いないだろうと思います)。
 ご承知のように当事務所は林百郎弁護士が創設し、政治活動の拠点としての役割に加えて、庶民の為の法律事務所としての機能を果たしながら、現在に至りました。
 平成4年6月に、創設者である林百郎弁護士が亡くなってから後も、林百郎という名を残したまま十数年を経た訳です。
 ところで、ここ数年、司法の世界は激動の時代を向かえています。司法制度改革の流れの中で、弁護士、法律事務所の役割をしっかりと見直す時期に来ていると思います。当事務所も例外ではありません。
 そこで、過去の歴史を踏まえつつ、新しい時代における法律事務所の役割を考えるという意味もあり、事務所名を変更することにしました。
 「信州しらかば法律事務所」という名称としたのは、様々な意味合いがあるのですが、後日、詳しく述べたいと思います。名称については、多くの方々に、多くのご意見を寄せて頂いたことをお礼申し上げます。(弁護士 相馬弘昭)

 

≪コラム(握手)≫

憲法「改正」の魔の手は教育基本法にも
 「教育基本法」は、憲法施行10ヶ月後のS22・3に施行されました。「この(憲法の)理想実現は、根本において教育の力にまつべきものである」「われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない」というのが教育基本法の理念です。
 近年教育現場では、個人の思想や心情を踏みにじり、日の丸・君が代が強制されています。子供を取り巻く状況は、深刻なものになっています。痛ましい事件の発生に、心を痛めない人はいないでしょう。
 他国に泥靴で踏み込み、罪も無い人を何千人も殺す。「人道復興支援」の名のもとにこの侵略に手を貸す。「戦争をしない国からする国へ」、この為に、憲法も教育基本法も変えてしまえ、というのです。
 小泉首相は、公然と靖国神社「公式参拝」を繰り返しています。「愛国心」「日本人」というキーワードで、みんなをひとつの方向に束ねていこうとしています。
 「憲法」とともに、「教育基本法」の「改正」に反対しましょう。

≪税金裁判で、審判所に「審理記録を提出せよ」との命令出される≫

 松本市の機械部品組み立て業者・Sさんと穂高町の通信配線工事業者・Iさんが、十分な調査もしないままあまりに高額な更正処分をなした松本税務署長に課税処分の取消を求めている裁判で、長野地方裁判所は昨年9月2日に国税不服審判所に対し、審理記録の一部を提出することを命ずる決定をしました。これは、情報公開を求める世論の高まりの中、2001年12月1日から施行された改正民事訴訟法によって、公務員が作成保管する公文書についても裁判所の提出命令がなされやすくなった機会を捉え、施行と同時に申立をし、1年半の審理で国・審判所・監督官庁である国税庁こぞって反対する中で決定されたものです。この決定に従って裁判所に送られて来た審判所の記録を早速謄写し、これを証拠として提出しました。これまで非公開でいわば秘密のベールに包まれていた国税不服審判所の審理記録がおそらくわが国で始めて係争している当事者の目に触れた瞬間でした。この証拠提出によって、課税処分があまりにずさんになされた疑いが強まり、裁判所は、課税処分をした担当係官とこれへの不服申立である異議審理を担当した係官2名の証人調を決定しました。
  税務署の違法調査に足かせ 
 2人のケースはいずれも、争っている納税者の所得を異なる業種の業者の資料から推計した疑いが強まり、その真偽を明らかにするために審判所の記録が必要であったもので、すべての事件で審判所の記録を使えるということではありませんが、税務署の横暴な調査や課税処分がまかり通っている今、このような方法があることによって税務署との争いにバリュエーションが広がり、また、そのために違法な調査・処分をやりにくくしたことは確かです。「民商をやめたら更正処分しない」との脅しに屈することなく、1996年から既に8年間闘い続けているSさん・Iさんは、「ここまで税務署を追いつめることが出来た。全国の皆さんの役にも立てて嬉しい」とますます意気盛んです。(弁護士 毛利正道)

(しらかば 2004.8)


≪最近関わった保佐制度≫

 平成12年4月1日から、新しい成年後見制度が実施されています。以前、「しらかば」でもご紹介したことがありますので、ご存知の方も多いかと思います。
 従来の制度は、判断能力に応じて、禁治産と準禁治産に分れていました。しかし、これらの制度は、宣告されると戸籍に記載されたりしたため、マイナスのイメージがありました。そこで、新しい制度を作ることになりました。
 ところで、新制度には、法定後見(従来の制度の延長)と任意後見があります。法定後見には、判断能力に応じて、後見制度、保佐制度、補助制度の3つがあります。
 最近、保佐制度に関わったケースがありますので、簡単に紹介します。
 知的障害を持つ母娘の家に、次から次へと、訪問販売員が押しかけ、不要な物を買わされ、その支払にクレジットを組まされ総額で1500万円以上にもなってしまいました。日頃から、母娘の相談に乗っていた知人が、そのことを知り、消費生活センターに相談に行き、センターから私の所に依頼が来ました。
 当初、個々の販売店・クレジット会社と交渉し処理をしていましたが、その間にも、訪問販売員の犠牲になり、新しいクレジットを組まされる始末でした。これでは、モグラ叩きの様なもので解決にならないと考え、法定後見の制度を利用することになりました。
 3つの制度のうち、保佐制度を選んだのですが、裁判所に事情を説明して、申し立てをしてから3ケ月位という異例のスピードで保佐開始が認められました。保佐制度を利用すれば、本人たちが契約をしても、保佐人が同意していない場合、保佐人が契約を取り消すことが可能です。
 幸い、私が保佐人になってからは、本人たちに良く良く説明したこともあって、無駄な契約は今の所ないようです。
 読者の皆さんの周りにも、同様のケース(痴呆のケースも)があるかも知れません。一度、法律事務所に相談するというのも、一つの手かも知れません。  (弁護士 相馬弘昭)

(しらかば 2004.8)


≪面接採用後の就労拒否は解雇権の濫用であるとして 再就職までの賃金相当額の支払いを命じた事例≫

 母子家庭で子供一人を育てている女子労働者Aさんは、勤めているところが子育てに不都合な勤務体制であったので転職を希望していました。Aさんは、ハローワークの紹介で、2002年11月28日、ある会社の面接を受けたところ、即日、その会社に採用され、作業衣の制服まで貸与されました。そして、会社は何時から就労してもらうかは、追って通知するとのことでしたので,Aさんは、従前の勤務先を退職して、いつでも就労できるよう待機していました。しかし、会社から連絡がないので、自分の方から何時から会社に行ったらよいのか、電話で確認したところ、12月26日、会社では、「別な人を雇ってしまったから会社に来る必要がない、あなたを雇ったことはない、制服は捨ててください」とのことでした。
 Aさんは、会社の応対はあまりに酷く、我慢ならないので、会社に対し弁護士を介して、これは不当な解雇であるから、再就職できるまでの賃金相当額の損害を支払うよう請求しましたが、会社は、Aさんを雇ったことはないと主張し、請求を拒否してきました。
 Aさんは、会社の対応を許せないとして、2003年4月28日、再就職できるまでの賃金相当額の損害賠償と弁護士費用の支払を求める訴訟を提起しました。
 裁判所は、2004年5月21日、判決で、面接し制服まで貸与したのは、雇用契約が成立しているとみるべきであり、就労を拒否したのは解雇にあたり、この解雇は、解雇権の乱用になり、不法行為を構成するものであるとしました。そして、会社に対して、再就職するまでの期間3か月分の給与相当額と弁護士費用を損害賠償として支払うよう命じました。
 この不況の就職難の時代、弱いものいじめの不当な会社の態度に、毅然として訴訟提起までして、裁判所にその不当性を認めさせた意義は大きいものです。(弁護士 菊地一二)

(しらかば 2004.8)


≪四選めざして 木島日出夫≫

 参議院選挙での日本共産党へのご支援に心からの感謝を申し上げます。
 こんどの選挙は、年金問題・消費税増税問題、イラク多国籍軍への自衛隊参加問題・憲法改正問題など、重大な問題が熱い争点としてたたかわれました。
 選挙結果は、小泉政権与党の自民党の大減票(昨年の総選挙に比べ386万票減)と民主党の大幅議席増(改選時比12議席増)になりました。
 マスコミの論調は、「二大政党制の勝利」というのが一般的のようです。
 確かに、年金問題やイラク多国籍軍参加問題で、小泉政権のとった強権的なやり方に対する国民の反発が、民主党への期待となって吹き出したのでしょう。
 しかし、つきつめると、年金問題は財源としての消費税増税に、イラク問題は改憲問題に行きつき、そこでは、自民党も民主党も同じ土台の上に乗っているのです。
 日本共産党は、そこまで論じ、財界の求める消費税増税ノー、アメリカの求める憲法九条改悪ノーを鮮明にして、本当の日本改革を訴えましたが、力が及びませんでした。
 参院選の結果は、次期総選挙での議席奪回を目指す私にとって、きびしいものですが、基礎的力を大きくするために頑張りたいと思います。

≪毛利栄子の ~県政さわやか報告~≫

 選挙まっただなかに、深夜の審議を含む16日間にわたって開かれた6月議会は、まさに「政治は動いている」を実感するものでした。党県議団の政策委員長を仰せつかっている私の、議会中の主な仕事は11にも分かれている会派間の議員提案の調整です。  
 今回共産党として5本の意見書を提案させてもらいました。可決できるよう分担して他会派を駆け回って働きかけるわけですが、「雇用創出特別交付金事業の継続と拡充」「若年雇用対策の充実・強化」「中山間地直接支払い制度の継続・充実」は全会一致で可決。先輩議員の弁によると、スゴイ! 
 「認可外保育施設の消費税非課税」は事前の調整では過半数の賛成が得られる見通しがなく否決か?と思いきや、当日藤沢県議の切々たる提案説明が実り、息を殺して投票を見守る中なんと、34:22で逆転可決!ヤッターと思わず拍手。「自衛隊の多国籍軍への参加反対と撤退」問題は私が一生懸命提案説明させていただきましたが、23:33でまたもや否決。(うーん、昨年来この壁は厚い)
 しかし、一昔前まではつねに2:60で全て否決されていたことを思えば、県民世論と党(6+1)議席の前進の中で、妨害は執拗に続くものの県議会はあきらかに変わりつつあります。道理の力は素晴らしい。

≪小泉内閣の三位一体改革に、もみくちゃにされながら 「ひまわり保育園」 来年4月1日開園(予定)≫

 「ひまわり共同保育所」の認可運動はようやく実を結び、8月、温かみにあふれる総木造りの園舎建設に着手し、来年4月1日開園(予定)です。総事業費1億2375万円という夢のような大事業です。
認可運動の1年は、山あり谷ありでした。1月には、国の補助率が切り下げられ、子供たちの机や椅子などの備品はカットされてしまいました。箱物を造る金は補助するので、中身は自前で揃えろというわけです。5月には、2年間の継続事業として補助(初年度70%・次年度30%)するので、2年掛かりで建設し、年度途中で開園せよというのです。新しい保育所を年度途中に開園しても、子供たちは来ないことがわかっているのに、実情を全く無視した無理難題です。そして、単年度で完成した場合は、次年度の補助金は交付されません。

園舎建設のために切り出された木材の前で
記念撮影する面々

 でも、長野県と岡谷市は、補助金を2年に分けずに全額を出すという特別の計らいで、今年度中に完成予定です(県との交渉では、毛利栄子県議が大きな力を発揮してくれました)。

 「貴方の善意で子供たちの椅子や机をカンパして下さい」と「ひまわり」に明け暮れる日が続きます。   


(しらかば 2004.8)


≪御柱と私≫

 日本三大奇祭の一つ諏訪の御柱祭に私が最初に出遭ったのは保母をしていた頃、草むらに園児を座らせて、小宮の御柱を半日あきずに見たことから始まります。それから木遣隊の我が子に付き添って、一緒に祭りの一部始終を練り歩き、ヤマ場の木落とし坂も当時は綱を曳いて下りたこともありました。御柱が楽しいのは何と言っても、世の中の横のつながりで盛り上がることです。この時ばかりは、教師も社長も隣のおじさんも綱につかまれば対等平等です。また、大の大人が本気になって取り組める壮大な遊びごとです。その人の体力に合わせて、柱に登ろうが、「ヨイテコショ」と大声で騒いで綱を力いっぱい曳こうが、道脇で静かに見ていようが、ひっくるめてすべてが御柱祭です。また、御柱は酒がつきものです。山出し、里引き、小宮祭、全て白昼から地域の人々と一緒に飲んでいられます。飲みすぎて道端で寝ていてもそれまでです。7年に一度、大木を奥山から里の宮まで運ぶだけの祭であるのに、悠久の昔から「次の御柱は孫と一緒に曳けるかな」諏訪の人々の生きる節目として心膨らむ行事と思っています。

(しらかば 2004.8)
信州しらかば法律事務所

HOMEご相談について弁護士費用について事務所のご紹介業務内容取り扱い事件役立つ法律情報署名のコーナーリンク集これまでの事務所ニュース

Copyright (c) 2009 shinshu shirakaba Law firm. All Rights Reserved.