しらかば 第96号
≪御柱と私≫ |
日本三大奇祭の一つ諏訪の御柱祭に私が最初に出遭ったのは保母をしていた頃、草むらに園児を座らせて、小宮の御柱を半日あきずに見たことから始まります。それから木遣隊の我が子に付き添って、一緒に祭りの一部始終を練り歩き、ヤマ場の木落とし坂も当時は綱を曳いて下りたこともありました。御柱が楽しいのは何と言っても、世の中の横のつながりで盛り上がることです。この時ばかりは、教師も社長も隣のおじさんも綱につかまれば対等平等です。また、大の大人が本気になって取り組める壮大な遊びごとです。その人の体力に合わせて、柱に登ろうが、「ヨイテコショ」と大声で騒いで綱を力いっぱい曳こうが、道脇で静かに見ていようが、ひっくるめてすべてが御柱祭です。また、御柱は酒がつきものです。山出し、里引き、小宮祭、全て白昼から地域の人々と一緒に飲んでいられます。飲みすぎて道端で寝ていてもそれまでです。7年に一度、大木を奥山から里の宮まで運ぶだけの祭であるのに、悠久の昔から「次の御柱は孫と一緒に曳けるかな」諏訪の人々の生きる節目として心膨らむ行事と思っています。 (しらかば 2004.8) |