-長野トンネルじん肺和解成立-
2001年3月2日(金)、長野でのトンネルじん肺訴訟原告37名のうち、最初に提訴をした10名の勝利的和解が成立しました。トンネルじん肺裁判は東京地裁で2月15日に既に全面和解が成立していましたが、それに続く全国で2番目の和解成立になりました。
異例の速さの和解成立
長野のトンネルじん肺裁判は、昨年の11月24日に、長野地裁より和解案が示されてから、およそ2ヶ月という異例の速さで和解が成立しました。提訴日から計算しても、3年3ヶ月と東京地裁よりも早い期間での和解です。
これは、①請求団・原告団の運動、②弁護団の努力、③裁判所の積極的な対応による成果です。請求団・原告団は、和解のテーブルにつくことを拒否する大手 ゼネコンに、個別に申し入れ、和解の成立の後押しをしました。弁護団も、東京地裁の和解の状況などをもとに、裁判所と本当に何度となく協議を重ね、和解の 成立を強く求めてきました。そして、裁判所はこれに応じて、3月2日の和解の成立に意欲的に取り組んでくれました。正直、弁護団は、当日まで、全面的な和 解が成立することはできないのではないかと考えていました。というのも、前日の裁判所との協議では、和解内容を受諾すると回答をしてきた被告企業は12社 で、全体の3分の2に過ぎませんでした。それが、全面的な和解成立になったのは、裁判所が当日まで、被告との交渉を重ねてくれたからです。
和解内容
和解内容は、和解金額の基準も含めて東京地裁の和解条項と同じですが、①じん肺防止の方策について具体的に提唱 していること、②「謝罪」と「じん肺防止の誓約」を事実上被告らが受け入れたものとなっていること、③時効差別のない救済をしていることなど、が盛り込ま れており、私たちが求めた「謝れ・償え・なくせじん肺」のスローガンに沿った、画期的な内容です。
しかも、右和解は、11月24日の和解案を受けてのものですから、「じん肺被害者に対し、お見舞いや弔意を示すことが、被告各社の責務であり、かつ、礼 儀である」と宣言した和解案は活きているという意味では、じん肺患者に対する配慮も十分なものとなっています。
他の地域への貢献
東京地裁の和解に続く長野地裁の和解成立は、各地のトンネルじん肺訴訟での和解成立に向けての大きな励ましになったことは間違いありません。その後、徳島、仙台、前橋地裁など次々と和解が成立しています
今後の状況
長野地裁の佐藤裁判長は、和解成立後、残った原告27名の和解についても、6月1日までに、職歴を確定させて早期の和解成立を目指すと宣言しました。
全国的には、年内の全面解決を目標にしています。私達弁護団も、長野での早期全面解決に向けて、更に努力するつもりです。
(しらかば2001.4) |